再生可能エネルギーの「水力発電」と「海上水力発電」の開発に向けて

再生可能エネルギーの「水力発電」に注目する-1

 

日本では「原発発電」の代替エネルギーとして「再生可能エネルギー」の「風力発電」「太陽光発電」「地熱発電」が注目されているが、あえて「水力発電」に注目したい。

 

「水力発電」の概要

「現在最も一般的なのは発電用水車を水の力によって回転させることで発電を行う。発電用水車と発電機を組み合わせたものを水車発電機(すいしゃはつでんき)という。

高いところにあるダムやため池、タンクなどから水道用水や農業用水などを供給するときに、途中に水車発電機を設置すれば発電できる。落差さえあれば発電が可能という、適応可能範囲が非常に広い発電方法である。

水力発電と同様に再生可能エネルギーを利用する太陽光発電や風力発電に比べて単位出力あたりのコストが非常に安く、また発電機出力の安定性や負荷変動に対する追従性では、数ある再生可能エネルギーの中で王者とも言われ、実用化されている唯一の再生可能エネルギーとも言える。

また世界的に見ると、特に開発途上国において年間発電量として17兆キロワット時という大量の未開発水力地点があると言われている。世界の全電力消費量が12兆キロワット時程度であることを考えると莫大な資源量である。」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

水力発電の最も特徴的なことは、単純明快の「水が落下するときのエネルギーで発電を行う方式」のことである。

物理学上では、流水の「位置エネルギー」「運動エネルギー」「圧力エネルギー」を利用している。

歴史的にも古く「水車」から始まり、現代では「ダム」の治水を利用した山間にある「水力発電所」が主である。

 

地球上の水

「地球上には多くの水が存在しており、生物の生育や熱の循環に重要な役割を持っている。気象学や海洋学などの地球科学・生態学における大きな要因の一つである。水蒸気は最大の温室効果ガスでもある。

その97%が海水として存在し、淡水は残り3%にすぎない。そのほとんどが氷河や氷山として存在している。

 

 

位置

淡水湖

河川

地下水

地下水

土壌

氷河

大気

塩水湖

海洋

存在比 (%)

0.009

0.0001

0.31

0.31

0.005

2.15

0.001

0.008

97.2

 

このなかで、淡水湖・河川水・地下水浅が、人間が直接に利用可能な水で、総量の1%未満である。飲料水として利用できるものはさらに少ない。

地球における継続的な水の循環は水循環と呼ばれている。太陽エネルギーを主因として、固相・液相・気相間で相互に状態を変化させながら、蒸発・降水・地表流・土壌への浸透などを経て、地球上を絶えず循環している。また、この循環の過程で地球表面の熱の移動や浸食・運搬・堆積などの地形を形成する作用が行われる。」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

人類にとって最も必要とされる「空気」と同等な「水」を理解し、水からのエネルギーを利用する「水力発電」について考察したい。

 

水循環モデル
水循環モデル

 

再生可能エネルギーの「水力発電」に注目する-2

 

「エネルギー密度は風力の850倍」:水中にタービン、ダム不要の新水力発電 2009/01/15/


Photo Credit: Mark Stover/Hydro Green Energy, LLC大規模なダム建設を必要とせず、自然な水の流れを利用して発電を行なう「流体タービン」が、昨年12月、商用としては米国で初めてミシシッピ川に設置された。


「商用としては米国初の流体タービンが、昨年12月、ミネソタ州ヘイスティングズのミシシッピ川の水中に設置された。このタービンを使えば、ダムを建設しなくとも水の流れから電力を得ることができる。
35
キロワットの発電能力を持つこのタービンは、既存の水力発電ダムの下流に設置された。間もなく設置される[今年4月を予定]もう1基のタービンと組み合わせることで、このダムの発電能力を5%以上向上させることができるという。
この数値はさほど大きいものではないが、今回のタービンの設置は、環境志向的なエネルギー分野の重要なトレンドに先鞭をつけるものとなる可能性がある。つまり、これらの「水中用風力タービン」が、近い将来次々と設置され、クリーンなエネルギーを生成するようになる可能性があるということだ。
このプロジェクトを率いる米Hydro Green Energy(本社テキサス州ヒューストン)Mark Stover副社長は次のように語る。「われわれの技術は大規模なダム建設を必要としない。自然な水の流れを利用するだけだ。『水中の風力』と呼んでも良いが、そのエネルギー密度は風の840850倍だ」
Hydro Green
社や米Verdant Power社が製造している流体タービンは、いずれも水の流れの力学的エネルギーを捉えてエネルギーに変換するもので、ダムを必要としない。」

http://wired.jp/wv/2009/01/15/より

 

エネルギー変換効率

 

原子力発電

原子力

電力

33

風力発電

力学

電力

< 59

太陽光発電

電磁波(太陽光)

電力

  540

水力発電

力学

電力

8090

 

水力発電は他の発電方式に比べて23倍のエネルギー変換効率を持つ。

つまり「水」のエネルギー密度は高く、水流を利用して発電機からの電力を得やすいのだ。

今後の再生可能エネルギーの推進にとっては、水力発電が有効であるが「古い発電所」との偏見がある。

 

 

再生可能エネルギーの「水力発電」に注目する-3

 

マイクロ水力発電

 

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


町川発電所(長野県、出力140kW)

波田水車(長野県、出力0.8kW)

 

「マイクロ水力発電(マイクロすいりょくはつでん、Low head hydro power)は、小規模な水力発電である。小水力発電(しょうすいりょくはつでん)ともいう。中小河川、用水路、さらにはトイレの洗浄水等、様々な水流を利用して発電を行う。現在日本は、大型のダム開発適地はほとんど残っていないため、今後の水力発電の開発手段として期待されている。

マイクロ水力発電は、水源のある場所であれば設置が可能であるため、エネルギーの回収にも利用できる。

具体的には、工場、高層ビル、病院等には、空調、用水、排水のために配管類が巡らされており、水(冷温水)が高い位置から低い位置(地下)までの高低差において循環している。その落下時の水流によって羽根車を回転させ発電を行うことで、電力としてエネルギーを回収することが出来る。現在、日本では1設備あたり9kWの能力のある発電設備が実用化されている 」

 

利点

・ある程度の水量があれば、基本的にどこにでも設置が可能。

・ポテンシャルが大きい。中小規模の水力発電を合わせれば、未開発の出  力は1212万kW(2004年)とされる。

・太陽光発電、風力発電と比較して、天候等による発電量の変動が少ない。

・大型水力発電より、生態系を脅かす心配が少ない。

欠点

・発電規模によっては、大型水力発電と同種の法的手続きが必要なため設置には大きな労力を必要とする。

・ 河川などには落ち葉やゴミ等が流れてくるので、その撤去等のメンテナンスが必要となる。

・異常気象等、降雨量が少ない場合に安定した電力が得られないこともある。

・設置時の工賃や機材のイニシャルコスト、メンテナンスにかかるランニングコストを考えると、採算性が低い。

 

今後の電力確保は「地産地消」が好ましい。そのためには、日本全国に「小川」や「水路」が溢れている。

何も流行りの「大規模太陽光発電・風力発電」だけではない。安価で小規模で身近の「エネルギー」にも目を向け「大企業」だけの「再生可能エネルギー」であってはならない。

 

 

再生可能エネルギーの「水力発電」に注目する-4

 

流水式小水力発電機ストリームの技術的特徴について

http://www.seabell-i.com/

1.水理技術:水車形状・動流水の流体技術
水路や水流の中心部が最大エネルギーとなる水理特性から垂直2軸のクロスフロー水車 (衝動水車と反動水車の併用型水車翼)により、効率良く発電エネルギーに変換します。

従来水車との比較
▼ストリーム水車


▼下掛け水車・横軸クロスフロー水車
低落差の有効水位差を貯留し、オリフィス形状の本体構造によって水の拡散を防ぎ、集中させた エネルギーを効率良く垂直の水車翼に衝動作用させて、使用水量によるトルク(質量)を反動して作用させます。

季節水量変化等にも対応し安定した発電
▼灌漑期・通常時等

▼非灌漑期・渇水期等
垂直2軸のランナ(水車翼)に沿った同軸の流量調整扇形ゲート(ガイドベーン)により季節変動する水路流量に応じて最適な上流の有効水位を調整します。

 

すこし調べれば「新しい水力発電」の開発と実施が始まっている。

流体物理学による水力の有効活用である。

「エネルギーを効率良く垂直の水車翼に衝動作用させて、使用水量によるトルク(質量)を反動して作用させる」

自然エネルギー推進にとっては「エネルギー理論」を知らなければならない。

 

 

再生可能エネルギーの「水力発電」に注目する-5

 

再生可能エネルギーは自然エネルギーを利用するのだから、自然状況に左右されるのは当然だ。

太陽光発電は日照条件により発電量が変化し、夜は全く発電できない。

風力発電は風況により発電量が変化し、無風の時は全く発電できない。

水力発電は水流により発電量が変化し、水の流れがない時は全く発電できない。

 

だが見方を変えれば

風力発電は風を人工的に作り出せばよいのだ。

水力発電は水流を人工的に作り出せばよいのだ。

太陽光発電だけは日照を人工的に作り出す意味はない。

 

人工的に水流を作り出す方法は色々ある。

「揚水発電」もその一つである。

あまり知られていないが「浮力発電」もある。

 

 

「浮力を利用した動力システム」-特許公開より

 

 

「【課題】 自然界にあるエネルギーの中に浮力がある。この浮力現象を動力システムとして技術開発し動力源に利用する。

【解決手段】 海、湖、沼、川、池などの一定の水深を得られる水中において、気体を内蔵した容器(エアーバック)にかかる浮力を利用し、動力を得る装置である。

水中の底部と水面上に滑車をもうけてワイヤーで連結する。水中でワイヤーに結び付けられたエアーバックに気体を封入すると浮力が生ずる。ワイヤーに複数のエアーバックを連結すると浮上によりワイヤーは牽引力が生じて来る。

水底でエアーバックに圧縮空気を填充し続ければこのワイヤーに連結した滑車は回転する。エアーバックは水中で浮力を持って浮上し、水面上に出てしぼみ、反転して水中に入り抵抗を少なくして下部滑車に移動して行く。このシステムで浮力動力を得る装置である。」

 

まだ実用化まではいかないが「新しい発電システム」が生まれてくる可能性がある。

また日本人の悪い癖で「太陽光発電だ!」というと、みんな「真似」して太陽光発電ばかり進めようとしている。

太陽光発電では、パネルの製作自体は中国や韓国に遅れをとっているため事業の「採算性」でみるなら「失敗」するだろう。さらに太陽光発電は高額な「蓄電池」がないと安定電源になりえない。

この蓄電池は寿命があり、今後の「産廃」として問題になることは誰も言わない。

どうも「原発政策」に似ているみたいだ。

だから、あえて「水力発電」に注目し、日本独自の「新しい水力発電」を考えてみたい。

 

 

再生可能エネルギーの「水力発電」に注目する-6

 

浮力

[ 日本大百科全書(小学館) ] 

 

「重力場に置かれた流体内に物質を置いたときに、流体から物質にかかる力のこと。

地球表面の静止流体中に置かれた箱を考えてみよう。箱の高さをhとすると、箱の上面での流体の圧力pは、下面の圧力p0とp=p0-ρghの関係にある。ここにρは流体の密度、gは地球の重力加速度である。この関係は、流速をゼロとしたベルヌーイの定理から得られる。箱の上下面の面積をSとすると、箱には全体として、上向きにF↑=Sp0(圧力は単位面積当りの力である)、下向きにF↓=Spの力が働くことになり、差し引きΔF=S(p0-p)=ρghSだけ上向きの力が大きく、箱を浮かせようとする。これが浮力である。この浮力の大きさは、箱の体積がV=hSであることから、ΔF=ρgVとなり、ちょうど箱の中に流体をいっぱいに満たしたときの重さに等しいことがわかる。浮力は重力と反対方向に働く力であり、物体の重心に作用する。これを浮力の中心という。したがって、真空中で質量Mの物体を流体中に置くと、重心にf=Mの重力とΔF=mgの浮力(mは、物体が押しのけた流体の質量)が働き、結局、f-ΔF=(M-m)gの力しか受けないことになる。「水の中の物体は、それが押しのけた水の量だけ軽くなる」というアルキメデスの原理は、このようにして理解できる。昔、鉄の船が浮かぶことに人々は驚いたが、中空にして船が押しのける水の質量mを、鉄の全質量M以上になるよう設計すればよいわけである。しかし、船が傾いて、押しのける水の量が減ったとき、浮力は減るが船の重量は変わらないため沈み、浸水がおこって沈没することがある。

温められた空気が上昇気流になったり、やかんの底から湯が対流で上昇するのも、浮力のためである。このとき、空気や湯の温められた部分では膨張し密度が小さくなる。したがって、周りの温められていない部分と同じ体積で比べると、温められた部分の空気や水の分子の数は少ないため軽くなっているのである。これは、ヘリウムガスの風船が浮くのは、風船中のヘリウムガス(と風船)の重さが押しのけた空気の重さより小さいのと同じ理由である。最近では、高価なヘリウムガスの風船より、手近なバーナーで空気を熱して浮かせる熱気球がレジャーによく使われている。」

 

自然エネルギーからのエネルギー=力を考えるとき

自然界に働いている大きな力として「重力」があるが、その力に対抗する「浮力」もある。

「水の中の物体は、それが押しのけた水の量だけ軽くなる」というアルキメデスの原理など忘れがちであるが、水の重量は大きいものであり、鉄の塊の「船」を浮かばせる力が浮力であり、この力を利用しない手はない。それは「水力発電」である。

水が移動する力である「水力」は強く「風力」の数百倍の「エネルギー=力」を持つ。

例えば「津波」も「水力」である。その力の源は「重力」にある。

 

 

再生可能エネルギーの「水力発電」に注目する-7

 

「世界に“周回遅れ”の再生可能エネルギー」

-日経ビジネスオンライン より引用-

 

「IEAは、長期エネルギー見通しとは別に、2011年5月に再生可能エネルギーの現状(2010年)と2020年時点の予想を発表した(図2)。これは、2050年までに世界の温室効果ガスを50%、先進国では80%削減すると仮定した「ブルーマップケース」で試算したものだ。」

 

図2 再生可能エネルギーの導入目標と伸び率
*Blue map target 2020は、2050年に世界のCO2排出量を50%削減すると仮定した場合の導入量。IEAが推計した。

 

 

「国別で見ると、デンマークは2050年までに再エネ100%という高い目標を掲げる(図3)。ドイツも、再エネを2020年までに35%、2030年に50%、2050年に80%という目標を設定し、原発代替の主役を担わせようとしている。」

 

 

図3 欧州主要国と日本の再生可能エネルギーの導入構成比

 

「現在の日本は、世界の普及を尻目に周回遅れともいえる状況に陥った(図4)。だが、振り返ってみると、日本が再エネのフロントランナーだった時期もある。」

 

 

図4 日本の発電電力量における電源構成(2009年)

 

「こうした状況下で東日本大震災が発生。再エネ導入を求める世論が急速に高まり、3党合意という政治決着によりFIT法案は強化された。今後こそ再エネが日本に普及するという期待が高まった状態で、本日に至っている(図5)。今回こそは、太陽光のみならず、風力や地熱も総動員した普及推進体制になるはずだ。 」

 

 

図5 再生可能エネルギーのコスト比較

 

 

今一度再生可能エネルギーのコストパフォーマンスを見直さなければならない。

既に日本は「世界に“周回遅れ”」の現実がある。

日本には水力発電が風土に合っている。それは日本ほど「山河」豊かな国は世界には少ないのである。

 

 

再生可能エネルギーの「水力発電」に注目する-8

 

水力発電のしくみ -中部電力HPより-

 

 水力発電の基本原理

水が高いところから低いところへ落ちる時の力を利用して水車を回し、水車と直結した発電機で電気を起こすのが水力発電です。例えば、下の図「ダム式発電所」では、ダムの水を利用して需要が伸びる昼間に発電し、夜間はダムの水を貯水する運用ができます。

発電機の回転数は機種によって異なり、1分間に100回転から1,200回転とさまざまです。発生する電気の電圧は400ボルトから1万4,000ボルトです。この電気は、発電所の変圧器で6,000ボルトから50万ボルトなどの高い電圧に昇圧され、消費地へ送られていきます。

 

【図解】水力発電所のしくみ(ダム式発電所の例)

 

水力発電の特徴

 

電力需要への対応が容易

連続的に運転した方が経済的な火力・原子力発電所・自流式水力発電所が1日中稼働して電力需要の大半を受けもちます。一方、「揚水式」や「貯水池式」の水力発電所は、電力需要の変動に対応して、すぐに発電をおこなったり、発電の量を増やしたり減らしたりすることが容易という特徴があります。よって、夏の昼間などの電力需要ピーク時の供給力として活躍します。

1日の電気の使われ方(当社の場合)。(1時間ごとの最大出力と、その際電気を供給している発電方法の分布図)

 

エネルギー変換効率が高い

例えば、LNG(天然ガス)複合発電では、LNGを燃やしたエネルギーの55%が電気に換えられます。水力発電では、水を上から下へ流す時に発生するエネルギーの80%を電気に換えることができます。

各種発電方式別にみたエネルギー変換効率は、水力80%、LNG複合55%、火力蒸気タービン43%、ガスタービン35%、原子力33%、風力25%、太陽光10%、地熱8%、海洋温度差3%、バイオマス1%です。

 

CO2の排出量が少ない

水力発電は、他の発電方式に比べてCO2の排出量が極めて少ない発電方式です。

日本の発電方式別発電電力量1キロワットアワーあたりのCO2排出量は、石炭火力975.2グラム、石油火力742.1グラム、LNG火力607.6グラム、LNGコンバインド518.8グラム、太陽光53.4グラム、風力29.5グラム、原子力22.1グラム、地熱15.0グラム、水力11.3グラムです。

 

発電方法の種類

 

発電方式による分け方

流れ込み式(自流式)

河川を流れる水を貯めることなく、そのまま発電に使用する方式です。この方式の発電所はほとんどが出力の小さい発電所です。

調整池

河川の流れをせき止めた規模の小さいダムに、夜間や週末の電力消費の少ない時に発電を控えて、河川水を貯め込み、消費量の増加に合わせて水量を調整しながら発電します。この方式の発電所は1日または数日間という短期間の水量を調整します。

貯水池式

調整池式より規模の大きいダムに、水量が豊富で電力の消費量が比較的少ない春・秋などに河川水を貯め込み、電力が多く消費される夏・冬にこれを発電します。この方式の発電所は年間を通じての水量を調節します。

揚水式

発電所をはさんで河川の上部と下部にダムをつくって貯水し、昼間、電力の消費量が多い時に上部ダムの水を下部ダムに落として発電し、電力の消費量が少ない夜間に余裕のできた火力・原子力発電所の電力を利用して、下部ダムから上部ダムまで水を汲み上げ、再び昼間の発電に備えます。

 

昼間(発電中)と夜間(揚水中)のイメージ画像

構造物による分け方

水路式

川の上流に小さなえん堤をつくって水を取り入れ、長い水路で適当な落差が得られるところまで水を導き、発電する方法です。

【図解】水路式発電

ダム式

川幅が狭く両岸の岩が高く切りたったような所にダムを築き、水をせき止めて人造湖を造り、その落差を利用して発電する方法です。

【図解】ダム式発電

ダム水路式

ダム式と水路式を組み合わせた方式で、ダムで貯めた水を水路で下流に導き、大きな落差を利用して発電する方法です。

【図解】ダム水路式発電

 

ダムの種類

 

重力ダム・中空重力ダム

 

「重力ダム」は、ダム自体の重みで各種の外力に耐えるダムで、滑り出すことや倒れることに対して安全性が高いため、地震の多い日本に適し、日本のダムの約90%はこの形式です。
「中空重力ダム」は内部が空洞になっているもので、重力ダムに比べてコンクリートを使う量を減らすことはできますが、強度を保つため、複雑な構造となっています。

【図解】中空重力ダム

 

 

アーチダム

 

水圧を両岸の岩盤で支えるように、アーチ型にダムを築いたものです。ダムの厚さが薄くて済むため、コンクリートなどの材料が少なくて済みます。しかし、アーチ作用がダムの両岸の岩盤に加わるので、両岸が狭く、岩盤が非常に丈夫な場所に適しています。

【図解】アーチダム

 

 

ロックフィルダム

 

岩石を積み上げ、水漏れを防ぐためにダムの内部または上流面を、水を通さない材料を用いて築いたダムです。ダム自体が非常に大きくなりますが、材料の岩石が近くにある場所には適しています。

【図解】ロックフィルダム

 

 

水車の種類

 

水車は、水力発電所の心臓部と言えるもので、高い所から落下してくる水や、勢いよく流れ込んでいる水の力を受けて回転します。つまり、水車は水のエネルギーを、回転する機械エネルギーに変えるものです。

 

フランシス水車

水の圧力と速度をランナーと呼ばれる羽根車に作用させる構造の水車で、広い範囲(10~300メートル程度)の落差で使用でき、日本の水力発電所の約7割がこの水車です。

【図解】フランシス水車のしくみ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フランシス水車(新上麻生発電所)

フランシス水車の写真

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペルトン水車

水の速度のみを利用する水車で、落差の大きい発電所に用いられます。ノズルから強い勢いで吹き出す水を、おわん形の羽根に吹きあてて回転させます。

【図解】ベルトン水車のしくみ

ペルトン水車(新楠川発電所)

ペルトン水車の写真

 

プロペラ水車

理論的にはフランシス水車と同じで、水の圧力と速度を利用します。落差が比較的低く、しかも流量が多い発電所で採用されます。またプロペラ水車には、羽根を固定したものと動かすことができるものとがあり、後者を一般に「カプラン水車」と呼んでいます。

【図解】プロペラ水車のしくみ

プロペラ水車(新七宗発電所)

プロペラ水車の写真

 

クロスフロー水車

フランシス水車と同じで、水の圧力と速度を利用します。クロスフローとは水がランナーを交差し流れることを意味しています。主に1,000kW以下の小水力発電所で採用されます。

【図解】クロスフロー水車のしくみ

 

再生可能エネルギーの「水力発電」に注目する-9

 

再生可能エネルギーは「ベース電源」になりえないという。だからベース電源の「原発」が必要だという。

しかし元々「ベース電源」などなく、いろいろな電源を必要に応じて使い分けることが可能であり、太陽光発電や風力発電の性能に合わせて使い分ければ良いだけである。

原発の利点の「常時発電」は、電力が必要でない時にも発電しなくてはならないという欠点でもある。

今後、如何に再生可能エネルギーを進めていくかによって、やり方があるはずであり、「ベース電源の嘘」を見抜かなければならない。

しかし太陽光発電や風力発電に比べて「水力発電」はベース電源になりやすい性能をもっている。

 

同時同量 ~電力は蓄えにくい~

http://smartgrid.hpc.co.jp/douji_douryo.html

 

多様な形態をとるエネルギーの中でも、電力は最も扱いやすいエネルギーとして現代社会に受け入れられていますが、その最大の欠点は「蓄えにくい」という点です。そのため、電力はつくるとともに直ちに消費しなければなりません。需要家が消費している電力は、リアルタイムで生産されたものであり、その時々において需要と供給とが一致しています。仮に消費電力量が発電電力量を上回るようなことがあると、電圧が低くなったり、周波数が不安定になったりして、安定な電力供給に支障が出ます。また、消費電力量が発電電力量を著しく上回る場合には、送電網に設けられた保護機能が働き、停電が起きてしまいます。こうした電力供給品質のぶれや停電を防ぐために、電力会社では「同時同量」で発電を行っています。同時同量とは、発電量と電力消費量を常に一致させることをいいます。同時同量を維持するには、需要家が消費する電力量をあらかじめ予想し、発電量を制御する必要があります。一般的に、1日のうちで電力消費量が多くなるのは、朝の人々が活動を始める時間帯、そして夜の食事時です。また、夏には、気温がもっとも高くなる1時~3時がもっとも多くなります。

 

最大電力発生日における1日の電気の使われ方の推移

 

電源のベストミックス

 

電源は、発電のエネルギー源に従って区別されています。大きくは、水力発電、原子力発電、火力発電、揚水式水力発電に分かれます。これらの電源は、「24時間動かしておくのに適した電源」と「電力需要に応じて動かしたり止めたりするのに適した電源」とに分けることができます。一般的な水力発電と原子力発電は、24時間365日、動かしっぱなしにしておくのに適した電源です。したがって、1日の電力需要の変化の中で、ベースの部分を担うベース電源になります。石炭、石油、天然ガスによる火力発電は、需要に応じて動かしたり止めたりがしやすいため、ベース電源で足りない時間帯に動かします。これは電力需要の中間部分を担うもので、ミドル電源と呼ばれています。電力の需要は、1日の時間帯の中で、おおむね同じようなパターンで推移するので、電力会社の側で予測しやすく、また、季節によって変化するということも、電力会社の需要予測では織り込みます。需要があらかじめ読めれば、それに応じて電源を立ち上げたり、停止させたりします。このようなピークの時間帯に、ベース電源とミドル電源では足りない分を供給するのがピーク電源です。ピーク電源には、火力が使われることもあり、揚水式水力発電が使われることもあります。電力会社では、このようにして、その時々の電力需要に合わせて、ベース電源に加えてミドル電源やピーク電源を動かしたり止めたりしながら、同時同量を実現しています。これを電源のベストミックスと言います。今回の東日本大震災では、福島第一原子力発電所が大きな被害を受け、東京電力のベース電源の大半が失われた格好となりました。現在停止している東京電力管内の原子力発電所の発電容量は1239.6万kWだといいます。標準的な原子力発電1基がおよそ100万kWなので、これは約12基分の原子力発電が動いていないことになります。また、太平洋岸にある火力発電所も被害を受けています。ミドル電源ないしピーク電源に用いられるものであり、動かなくなった分は680万kW。原子力発電所7基分に相当します。現在の東京電力の総発電量が3950万kW(2011年4月10日時点)なので、どれだけ大きな電源が失われたかが分かります。同時同量を維持するためには、現在の限られた総発電容量でもってまかなえるだけの電力消費に落とす必要があります。そのために、東京電力はあるエリアを指定し、あらかじめ通知した上でそこだけ電力供給をカットする、計画停電を実施しています。また企業や家庭には、消費電力を削減するよう呼びかけています。
需要の変化に対応した電源の組み合わせ
 
電力会社は、刻一刻と変わる電力需要に応えるため、1日の中でもさまざまな発電方式を組み合わせている。上の図は、電力の需要に応じて、どのような電源が使われているかを示す様式図である。
 
電力を蓄えることのメリット
電力貯蔵技術は「同時同量」の電力流通ネットワークに「貯蔵」の機能を新たに付加するものです。電力貯蔵にはいくつかの方法があります。揚水発電は大規模には有効な手段であり、可能性のある場所では積極的に利用されています。水電解による水素としての貯蔵は再生可能エネルギーをベースに開発が進められています。そのほか、超伝導を利用してコイルに蓄える方法、気体の圧力として大規模に蓄える方法も試されています。こういった中でも、古くからある蓄電池による電力貯蔵法は依然として重要な位置づけとして存在します。「蓄えにくい」電力を「蓄える」ことにより、主に以下のメリットが期待されます。
 
メリット1:自然エネルギーの安定化
地球温暖化防止のための二酸化炭素(CO2)削減策として、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの大量導入が望まれていますが、太陽光や風力は太陽まかせ、風まかせのところがあるため、電力を安定的に供給することができません。たとえば、太陽光発電では晴天時に雲がかかっただけで数分以内に出力が半減すると言われています。風力発電においても、風速がつよいときは変動があってもほぼ定格運転をしますが、カットアウト(強風により発電機を停止する時点)風速を超えると急速に安全停止され出力がゼロに落ち込むので、系統に与える影響が大きいことが指摘されています。また、太陽光発電であれば5月のゴールデンウィークの日中など、発電量が大きいが需要が低い時間帯、風力発電であれば冬期の夜間、需要が低いが風況が良く発電量が多い時間帯に、供給力が過剰となる場合が懸念されています。自然エネルギーによる発電システムが大量に導入されると、連系する電力系統の需給バランスが崩れ、安定な系統運用が乱されるのではないかという懸念もあります。電力を蓄えることによって、このような出力変動を電力貯蔵システムで吸収し、安定化を図ることが可能となります。供給力が過剰なときは、電力貯蔵システムに余剰を吸収させ、供給力が不足しているときは、蓄えられている電力を放出します。
 
メリット2:負荷平準化
時間帯や季節ごとの電力需要格差を縮小することを負荷平準化と言います。電気はつねにピーク需要にあわせて設備を建設しなければならず、格差の拡大は設備の利用率を低下させ、電気を供給するコストの上昇につながります。電力消費量が少ない夜間に電力を蓄え、電力消費量が多い昼間に放出することで、夜の発電量は増え、昼の発電量は減り、負荷が平準化されます。これにより、電力供給事業者は発電所の増設を抑えることができ、消費者は契約電力を低減できるとともに、昼夜間の電気料金格差を利用して電気代の節約を図れることが大きなメリットとなります。またピーク電力を削減できるため、今回の震災による電力不足のような状況においても、突発的で大規模な停電や、計画停電の実施を避けるための有効な手段となります。
 
メリット3:電力品質の改善
送配電線への落雷に対して保護機能が正常に動作した際、短時間の電圧低下を起こします。これを瞬圧(瞬時電圧低下)と呼びます。通常、一般の人は蛍光灯のチラツキとして感じること以外は実感することはありませんが、このわずかな電圧の乱れが、デリケートな精密機械や半導体の製造プロセスに多額の損害を与えるおそれがあります。近年、この瞬圧対策付きの電池を導入し、電力品質維持を図る事業者も多い傾向があります。
 
メリット4:非常用電源としての利用
工場やオフィスビルなどの大口消費者は、非常用電源を設置することが法令で義務づけられています。非常時には確実で安定した起動が求められます。電池残量をゼロにすることなく必要量を常に残す必要はありますが、負荷平準化や電力品質維持の目的で導入した電池の一部を、非常用電源として確保することは可能です。この場合、蓄電システムとしては日々運転されているので、非常時にも安定して起動することができます。

さまざまな電力貯蔵システム

ここで、電池に限らないさまざまな電力貯蔵システムの概要を紹介します。
 
・揚水発電
揚水発電は、上部調整池と下部調整池の2つの貯水池を備え、昼間の電力需要がピークを迎える時間帯に、あらかじめ汲み上げておいた上池の水を落下させ、そのエネルギーを利用して発電を行います。夜間には余剰電力を利用し、水車を逆回転させることで、下部調整池にたまっている水を上部調整池に汲み上げます。国内の揚水発電システム全体のエネルギー効率は約70パーセント(100の揚水電力で70の発電ができる)と言われていますが、蓄電池としてみた場合、効率が良いとはいえません。しかし、現実的に大容量を持ちうる手段が他に無いため、電力においては最大の蓄電池として活用されています。日本初の揚水発電所は、1934年に完成した長野県、野尻湖のほとりにある池尻川発電所です。揚水発電は世界的にも行われていますが、狭い国土に比較的山地が多い日本では特に普及しました。1999年の時点では、日本全国に42カ所の揚水発電所が導入されており、出力総計は2390万kWに達しています。しかし、すでに狭い国土の中で開発が進められてきており、地理的な適地は少なくなっています。また、郊外近郊では住民の生活や住環境への影響が大きく、山間部では希少動物保護の立場や、自然環境や生物多様性問題への影響が懸念されるので、今後その設備容量を増やすことは難しいと考えられています。
 
・圧縮空気貯蔵(CAES)
CAES(Compressed Air Energy Storage)は、空気を圧縮して地下の空洞に貯蔵しておき、必要なときに圧縮空気を補助としてガスタービン発電機に流し込むというエネルギー貯蔵装置です。この技術は古くからあるもので、ドイツのフントルフでCAES技術を利用した29万kWのガスタービン発電所が1978年から稼働しています。ここでは、エネルギーは空気を60バールに圧縮し、地下650?800mの岩塩層にある岩盤内地下洞窟に貯蔵しています。その後、1991年には米国マッキントッシュでも商用プラントの運転が始まっています。CAESは、発電時には燃料を使用しガスタービン発電機への圧縮空気を供給するものであり、厳密には電力貯蔵単独の機器ではないため、効率などの評価には注意が必要ですが、ガスタービン発電機の燃料の約3分の2が空気の圧縮に消費されることから、効率は約50パーセントと言われています。海外の事例では、地下貯槽空洞は岩塩層内に建設されていますが、岩塩層は日本国内には少なく、国内でCAESの実用化を図るためには、地下貯槽空洞の機密機能を図る必要があります。電力中央研究所では、水封方式(空洞周辺の地下水により漏気を防ぐ方式)を提案し、神岡鉱山内で水没していた旧坑道を利用して、トンネル形式の実験用貯槽空洞を建設し、実証実験を実施しています。フントルフでのCAES技術は、当初近隣に設置された原子力発電所の夜間余剰電力を利用して空気を圧縮していましたが、近年ではこの地がドイツでも一番風力発電の盛んな地域の一つであることから、風力発電の余剰を貯蔵する目的で、新たな開発の検討がされています。
 
・2次電池
2次電池は、蓄電池、充電式電池とも言います。1回しか使えない電池を1次電池と言うのに対し、充電機能を持ち、充電することで何回でも再使用できる電池を、2次使用ができる電池ということで「2次電池」と呼んでいます。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2010年5月に発表した「二次電池技術開発ロードマップ2010」では、用途ごとに以下の7つのグループに分られています。

(1)EV(電気自動車)や電動二輪車
(2)フォークリフト
(3)PCや携帯電話機、デジタルビデオカメラ
(4)HEV(ハイブリッド自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド自動車)
(5)UPS(無停電電源装置)
(6)無線基地用バックアップ、通信ビル用バックアップ
(7)施設工場向け/住宅向け蓄電システム、風力発電などの出力安定化、余剰電力対策のための系統安定化

 

再生可能エネルギーの「水力発電」に注目する-10

 

日本での再生可能エネルギー推進の期待を受けて洋上の風力発電開発が進められている。

ただ形式としては陸上のプロペラ型の風力発電を海上に持ってきただけで、構造的には上部に荷重があるため「危なっかしいカッコ」をしていて、どうも好きになれない。

海上には海上の自然環境にあった発電施設が必要だ。

それは「海上水力発電」である。海こそ「海水」に満ち溢れ「水力」に必要な「水源」が元々存在する。

未だない「海上水力発電」に注目したい。

 

100kW風車を搭載した浮体式洋上風力発電施設の洋上設置に成功 -系統連系を行う浮体式洋上風力発電施設としては国内初- 

2012年6月12日http://www.kyotou.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2012/120612_2.htm

 

 このたび、京都大学を含む環境省浮体式洋上風力発電実証事業委託業務の受託者グループは、系統連系を行う浮体式洋上風力発電施設としては国内初となる100kW風車を搭載した浮体式洋上風力発電施設の長崎県五島市椛島周辺海域での洋上設置を6月9~11日に実施し、これに成功しました。本成果は、本学が戸田建設株式会社、日本ヒューム株式会社、佐世保重工業株式会社とともに2009年9月に実施したハイブリッドスパー型10分の1モデルによる浮体式洋上風力発電プラットフォーム実海域実験の成功に引き続くもので、本学が代表となって受託した平成22年度環境省浮体式洋上風力発電実証事業における成果を踏まえて実施されたものです。

 

目的

 国内の中長期的な温室効果ガスの排出削減を進めるため、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー導入の推進がますます重要となっています。我が国は、排他的経済水域の面積が世界第6位の海洋国であり、洋上には風力発電の大きな導入ポテンシャルを有することが明らかになっています。また、洋上は風速が強く、その変動が少ないため、安定かつ効率的な発電が見込まれ、その実用化が期待されています。

 洋上風力発電のうち、水深が浅い海域には着床式が適していますが、導入ポテンシャルのより大きな比較的深い水深の海域に対応するためには浮体式を採用する必要があります。しかしながら、浮体式洋上風力発電は世界的にも実証段階であり、国内での導入事例もありません。

 このため、環境省では、我が国初となる2MW級の浮体式洋上風力発電実証機1基を実海域に設置することを目指して2010年度から実証事業を開始しており、受託者グループは、これまでに候補海域の選定(長崎県五島市椛島周辺)、環境影響調査や風力発電施設の設計・建造・設置に係る検討を実施してきました。

 今回の100kW風車を搭載する小規模試験機設置の目的は、環境影響や安全性に関する情報を収集して周辺地域関係者の安心感の醸成に努めるとともに、風や波による浮体の揺れが設計どおりになっているか、揺れる浮体に搭載された風車によっても計画どおりに発電できるか、等を検証した上で、2013年度に設置を予定している2MW級の浮体式洋上風力発電実証機の建造や風車制御にその成果を反映することにあります。

 なお、実証海域として選定した五島市椛島周辺海域は、気象・海象観測を通じて年平均風速約7.5m/s(海上60m)が見込める一方、有義波高1m以下の出現頻度が年間約89%と穏やかであることを確認しており、洋上風力発電に好適な自然環境条件を有しています。

 

特徴および形状寸法

 小規模試験機は、スパー型と呼ばれる、細長い円筒形状の浮体構造の上に、風車およびタワーが海上に突出して固定されている構造を基本としており、細長い円筒形は風や波が当たっても揺れにくいという利点を活かしています。この小規模試験機は、3本のチェーンで海底に係留されます。

 浮体構造としては、浮体上部には鋼、下部にはコンクリートを使用する、本学・戸田建設グループによって開発された「ハイブリッドスパー型」と呼ばれる形式を採用しています。コンクリートは水圧や錆にも強いため、これを浮体下部に用いることでコストダウンを図るとともに、重心を下げ安定性も向上させています。なお、系統連系する浮体式洋上風力発電施設としてハイブリッドスパー構造を採用したものは、今回の小規模試験機が世界初となります。

 小規模試験機の形状・寸法は、2MW級実証機の約1/2の大きさで、一番深いところから風車翼(ブレード)の先端までの全長が71mで、海面上に浮いて見える部分の高さは34mとなります。また、円筒径は最大で3.8m、総重量は約350トンです。

 風車の形状は、風車ローター面がタワーの風下側となるダウンウィンド型としており、特にスパー型浮体との組み合わせにおいてより安定性に優れた形式となっています。

 

設置までの経緯および今後のスケジュール

 本事業の実施に当たり、自主的に環境影響評価を実施し、必要な調査・予測等をおこない、事業者の実行可能な範囲内で影響を十分に回避低減された計画であることを確認しています。また、小規模試験機設置に当たり必要となる許認可を取得し、約3ヶ月をかけて製作した各構成部材を岸壁にて横向きに一体化させ、これを設置海域まで曳航して、建起し、所定位置への移動および係留作業をおこないました。

 

写真1:洋上設置状況写真




 今後、発電に必要となる海底ケーブルの布設、風車電気設備の接続・試運転をおこなった上で、7月中には運転を開始する予定であり、系統連系をおこなう国内初の本格的な浮体式洋上風力発電施設がまもなく誕生します。

 なお、この小規模試験機は、約1年後に計画している2MW級実証機の設置に先立って撤去し、浮体・チェーンへの生物付着や腐食・摩耗状況等の調査をおこなう予定ですが、それまでは運転を続け、環境への影響や、施設の動揺・発電状況、等を観測していきます。

 

 

海上に巨大な風力発電所を作れば原発1基分に

 

 

http://blogs.yahoo.co.jp/yqsbc547/50368650.html

 

本の風力発電エリアでは風速平均4mの風が年に3分の1ほどの期間吹く。それが洋上だと風速は約2倍となる。 デンマーク、ドイツ、英国など世界の風力発電先進国がこぞって洋上発電にシフトしている理由だ。

海上ウィンドファーム構想は、

海上にハチの巣状に浮かべた六角形のコンクリート構造物(一辺300m)の上に、

従来の3倍以上の風力を得る直径100mの超大型風レンズ風車を設置する。(画像上)

送電線は使わず、発電した電力で海水を電気分解して【水素】をつくり、

 

それを船で陸上に運ぶ。

後は水素発電や燃料電池に使う。風車、浮体などに使用する新素材SCF(セカンダリーカーボンファイバー)

 

海水を逆浸透膜で真水に変え、水素を生成・貯蔵する技術も活かされる。

新素材SCFは

(1)風車本体(2)水素容器 (3)浮体 ―― のすべてに活用される。日本最新の頭脳による「高強度素材」「効率的風車」「水素貯蔵」など 先端技術が結集した夢のプロジェクトだ。

資金の目途がつけば7~10年で実用化可能だ。 「さらに…」と驚くべきアイデアも教えてくれた。「径600mくらいの六角構造の内側は静水域。ここを養殖池として使う。 コンクリート浮体の底に丸窓を開けて、そこから発光ダイオードで光を当て、 餌になる有用プランクトンを増殖させるのです」。(画像下)

の耐用年数はなんと100年以上!これにより大幅なコストダウンが可能となる。 この浮体式の風力発電基地では原発1基分に相当する100万kW発電を超低コストでめざす。

 

 

 

再生可能エネルギーの「水力発電」に注目する-11

 

海洋のエネルギーを利用する様々な発電方法が提案されている。

その気になれば海洋での再生可能エネルギー開発は有望である。

だからこそ海洋国日本の復権を目指すならば、もっと海洋開発に集中すべきである。

 

「日本には「黒潮」がある、海流発電の研究をIHIや東芝が着手」

http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1111/29/news007.html

 

日本列島に沿って南側を流れる黒潮。他のさまざまな海洋エネルギープロジェクトと共に、この黒潮の海流エネルギーを取り出す研究開発が始まった。直径40mのタービンを2つ取り付けた長さ100mの浮体物を海底にケーブルで係留するという壮大なプロジェクトだ。商業化の暁には出力800MWという巨大な海中発電所が完成する。

 

地球表面の約7割を覆う海洋。海洋には巨大なエネルギーが秘められている。海洋エネルギーの源は太陽光と、地球に働く太陽や月の引力の差によって生じる潮汐力だ。2種類のエネルギーは、海水に吸収されて波、潮の満ち引き(潮流)、海流、海洋温度差などの海洋エネルギーに姿を変える。

 

 海洋エネルギーを何とか取り出せないか、古くから研究が続いている。例えば、波力発電は、1799年にパリのムッシュー・ジラール(Monsieur Girard)とその息子によって特許が申請されている。しかし、長い間実用にはならなかった。1910年に至ってようやくボショー・プラティーク(Bochaux-Praceique)氏がフランスのボルドーに近いロワイヤンの海岸に出力1kWの波力発電機を据え付けた。さらに長い停滞期を経て、1970年代に入ると英国やノルウェーで研究が盛んになり、1990年代からは当時のECによる国際研究が始まった。

 

海洋エネルギーの潜在量は大きいものの、風力や太陽光などの他の再生可能エネルギーと比べて研究開発が遅れている。歴史はあるものの、ほそぼそとした研究が続いているという状態だ。2050年に至っても海洋エネルギーによる発電量は最大7EJにとどまるという予測もある。これは2050年時点の太陽光や太陽熱の予測値の1割以下だ(関連記事:世界のエネルギーの77%を太陽光や風力で供給可能、IPCCが発表)。

 

 海洋エネルギーの実用化はなぜ難しいのだろうか。まず、他の再生可能エネルギーと比べて動作環境が厳しい。金属を腐食(塩害)する海水に機械の可動部が触れる他、フジツボや藻類など海洋生物の付着も著しい。

 

 海洋エネルギーは風力などと比べて単位面積当たりのエネルギー密度が高い。これは長所だが、短所にもなる。装置が海水から大きな変形力を受けるからだ。海岸線が波により大きく浸食を受けることを考えれば、海洋エネルギー発電システムには風力などとは比べものにならないほどの耐久性が求められることが分かる。故障率が高くなることが考えられるため、メンテナンス性も高くなくてはならない。

 

 海洋エネルギーの実用化にはさまざまな技術開発が必要になるが、欧米に比べて日本の研究開発は必ずしも進んでいるとは言えない。どのようにして遅れを取り戻すのだろうか。

 

日本は周囲全てを海洋に囲まれ、排他的経済水域*2)の面積では世界6位に位置する(国の面積では62位)。この立地条件を生かした海洋エネルギーの利用を目指すべきだ。

*2) 排他的経済水域とは、領海の外側、沿岸から200カイリ(約370km)の範囲内の水域であり、全ての資源の探査と開発、保存、管理、経済活動に関する排他的な管轄権を主張できる。国連海洋法条約に基づく。

 さまざまな再生可能エネルギーの開発が強く望まれる中、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2011年度から2015年度の5年間で、さまざまな海洋エネルギーの開発を進め、商用利用への下地づくりを始める「風力等自然エネルギー技術研究開発 海洋エネルギー技術研究開発」の委託を開始した。

 委託研究の内容は3種類に分かれている*3)

*3) 3つのうちの1つが「海洋エネルギー発電技術共通基盤研究」である。発電システムを建造するのではなく、情報収集・分析や性能試験方法などを研究する。

 「海洋エネルギー発電システム実証研究」では比較的商業化が近い研究に取り組む。実証研究を重ねることで、2015年に発電コスト40円/kWh以下を実現するシステムを作るのが目的だ。プロジェクトが実現可能かどうか、実施することに妥当性があるかを検討後、想定海域で実証研究に入る。研究対象は潮流・海流発電と波力発電だ。

 潮流・海流発電では、川崎重工業の実証研究が採択された(図1)。2011年10月19日に同社が発表した内容によれば、潮流発電に力点があり、沖縄電力や沖縄新エネ開発と協力して沖縄海域での実証実験の可能性を探る他、英スコットランドの実証フィールド欧州海洋エネルギーセンターEMEC(European Marine Energy Center)での試験を予定している。

 

図1 潮流発電システムのイメージ図 

図では海底にタービンが固定されている。出典:川崎重工業

 

波力発電は三菱重工鉄構エンジニアリングと東亜建設工業の実証研究が採択された。2011年11月15日の発表資料によれば、波の振動を空気の流れに変換し、空気によってタービンを動かす「振動水柱型空気タービン方式」を採用している(図2)。

 NEDOが2011年10月19日に発表した「風力等自然エネルギー技術研究開発/海洋エネルギー技術研究開発」に係る実施体制の決定について、によればこの他、ジャイロダイナミクスと日立造船のグループと、三井造船が波力発電の実証研究の採択を受ける予定である。

 この方式では水面の上下運動を空気圧の変化に変えて発電する。両社は効率よく水面が上下するように空気室の前面に間仕切り壁(プロジェクティングウォール)を設置することで発電効率を向上させる。実用性を高めるため、発電装置を後付けユニット構造システムとして設計する。こうすることで、既存のインフラ構造物上に設置できるという。

 

 NEDOの委託研究には、この他、実用化に10年を要するような研究開発も含まれている。海流発電と、海洋温度差発電だ。時間はかかるものの、発電コストは安く、大規模な発電が可能になる見込みがある。

 

NEDOが委託する「次世代海洋エネルギー発電技術研究開発」では、まだ商業化の段階に至っていない先進的な研究に取り組む。2020年に発電コスト20円/kWh以下を実現するための要素技術を研究開発対象とする。これは先ほどの実証研究が目標とするコストの半分の数字だ。高効率化の他、耐久性やメンテナンス性の向上を狙い、試験を実施する。研究対象は海流発電と海洋温度差発電だ。

 

 IHIと東芝、東京大学、三井物産戦略研究所は2011年11月28日、共同で海洋エネルギー発電の研究開発に取り組むことを発表した。「次世代海洋エネルギー発電技術研究開発」の委託予定先に採択されたためだ。

 日本周辺は黒潮(暖流)や親潮(寒流)など海流に恵まれている。特に黒潮は高い潜在エネルギーを秘めており、今回の研究開発では黒潮のみを対象とする(図3)。

 

 研究開発では海中に水中タービンを係留し、海流を利用して発電する「水中浮体方式の海流発電システム」に必要な要素技術を開発する。さらに事業性評価を実施して、将来の海流発電の実用化を目指す。

 2011年度から2015年度までの5年間を予定し、2年間で設計課題を解決しつつ、各種の調査を終え、中間報告を提出する。目標到達が可能だとNEDOが判断した場合、引き続き3年をかけて小型の実機を使った海洋での実験に進む。

 

図2 振動水柱型空気タービン方式の波力発電所 

波によって海面が上下し、空気室の圧力が変化する。これによって、往復する空気流が生まれ、タービン発電機が動く。出典:三菱重工鉄構エンジニアリング

 

 

なぜ海底に固定しないのか

 

水中浮体方式の海流発電システムには4つの特長があるという。

安定した発電が可能で、発電電力量も大きい

コスト競争力に優れる(図4)

効率的な発電が可能

メンテナンスや修理が容易

(1)の理由は、海流が太陽の動きや天候に依存しないためだ。昼夜や季節による流れの速さや向きの変動が少なく、海流が欠けることもない。このため、風力や太陽光とは違い、連続的で安定した発電が可能になる。

(2)が成り立つのは、発電装置を海底に固定するのではなく、ケーブルを使って係留するためだ。設置が容易になる他、波浪の影響を受けない安定した水深(50~100m)での運用が可能になり、船舶の航行にも影響を及ぼさない。

(3)は選択した水中タービンの構造に由来する。1つの浮体の左右に逆回転する(対向回転する)水中タービンを採用することで、タービンの回転に伴う回転トルクを相殺でき、海中で安定した姿勢を保持できる。

(4)も水中浮体方式を採ったことで成立する。タービンの向きと浮力を調整することで、必要に応じて海上に浮上させることができるからだ。

 

図4 水中浮体方式の海流発電システム 

水中タービン(回転部)などを海底に固定するのではなく、海底から係留する。海底に大規模な構造物を設置する必要がないため、コスト面で有利だと考えられている。出典:東芝。

 

IHIが構造物を設計、建造

 

4法人の役割はこうだ。IHIが浮体全体と係留設備、タービン構造を設計し、建造する。東芝はタービン性能を検証し、発電と変圧、送電を実証する。

 三井物産戦略研究所はモノづくりには関与しない。まず、どの程度のコストに抑えれば商業ベースに乗るのか、コスト分析を進める。例えば、大型のタービンがよいのか、小型のタービンを多数設置するのがよいかなどを分析する。次に設置場所の選定を行う。海洋環境への影響を分析する他、漁業権などとの調整に関する調査を進める。最後に、海外展開の可能性を探るという。「研究開発が成功したとしても、商業ベースに乗って広く普及しなければ意味がない」(三井物産戦略研究所)

 

 

 

再生可能エネルギーの「水力発電」に注目する-12

 

海洋空間利用によるエネルギー利用・環境対策を考える

http://www.ihi.co.jp/ihimu/rd/research/

 

天然ガス生産浮体技術

 

 

LNG FPSO(FLNG)

 

経済的に開発困難とされていたガス田の利用を実現へ

天然ガス生産プラントと貯蔵タンクを一体化して洋上に設置する新しいタイプのLNG生産基地であり、IHIMU独自開発のIHI-SPBタンク方式を採用しています。コンパクトで高性能、移動性に優れており、目的のガス田近くへの設置が可能なので、これまで経済的に開発困難とされていたガス田の利用が可能になります。

また、利用価値がないものとして燃やされていた原油随伴ガスも、この設備を設置することによりLPG/LNGとして製品化できるため、地球保全にも貢献します。

 

半潜水型浮体技術

 

 

半潜水型掘削リグ “RBS8”

3000mの大水深にも対応可能な世界最大クラスの掘削リグを設計

IHIMUでは、海洋構造物の豊富な設計・建造実績を生かし、半潜水型掘削リグの設計・開発を1980年代から継続して実施しています。2000年には、3000mの大水深にも対応可能な、現在でも世界最大クラスの規模を誇る掘削リグ、“RBS8”の基本設計を完成させ、2隻が建造されました。

厳しい気象海象条件下にも適用でき、安定した油田操業を可能にする

大深水用モノコラムハル型FPSO技術

 

 

MPSO(モノコラムハル型FPSO)



厳しい気象海象条件下にも適用でき、安定した油田操業を可能にする

石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)殿とブラジル石油公団(PETROBRAS)殿との共同研究により通称MONO-BRと称する、大水深用モノコラムハルタイプの浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備FPSO:(Floating Production, Storage and Offloading system)の概念設計を完了しました。

仕様概要

長さ(全長):150.0m

長さ(型):121.2m

幅(型):121.2m

深さ(型):58.0m

移動時喫水:28.7~47.9m

貨物タンク容積:132,000m3

 

沿岸・環境・新エネルギー開発技術

 

新しいエネルギーを海洋から

大型浮き桟橋や自動離着岸システムなどの沿岸施設、クリーンエネルギーとして期待が高まっている洋上風力発電やメタンハイドレート資源開発などの新エネルギー利用技術、海洋深層水を活用した海洋肥沃化装置など、IHIグループの総合技術を活かした技術開発で、さまざまなニーズに対応していきます。

 

浮体式洋上風力発電システム

 

 

メタンハイドレート資源開発における環境モニタリングシステム

 

 

再生可能エネルギーの「水力発電」に注目する-13

 

世界の海洋開発-海中ホテル

 

Hydropolis(ハイドロポリス)

 
現在建設中のホテルの筆頭に挙げられるのが、クレッセント・ハイドロポリス・ドバイ。最近のドバイといえば、斬新な建物が次々に建てられていることで知られています。建築家が抱く夢の集大成のようなこのホテル、そのスケールは全てにおいて壮大です。総工費5億5千ドルをかけて建設中のこの贅を尽くしたホテルが建つ場所は、水深66フィート(約20メートル)のペルシャ湾海底。完成のあかつきには、ロンドンのハイドパークに匹敵する総面積27エーカーの水の中の巨大都市国家=ハイドロポリスが出現するのです。ホテルのフロントとなる海上に浮かぶランド・ステーションとクラゲをイメージしてデザインされた海底ホテルは、何と1,700フィート(約520メートル)の透明な海中トンネルで結ばれ、音がほとんどしない特別仕様の電車で移動するというのです!全220室の客室は全てスイートで、海の泡がコンセプトのデザイン。海中生活の気分が十分盛り上がるように、ベッドルームとバスタブの壁は、透明なガラス張りになっています。映画館やショッピングモールなど娯楽施設もあるようです。ホテルの格付けは10スターになるとも言われるハイドロポリス

 

ハイドロポリス1

ハイドロポリス4

ハイドロポリス2

ハイドロポリス3

 

Poseidon Undersea Resort(ポセイドン・アンダーシー・リゾート)

 

開業間近とされているもうひとつのホテルが、フィジーのポセイドン・アンダー・シーリゾートです。水深40フィート(約12メートル)のところに完成予定の5スター・リゾート、ポセイドンはアメリカ人の潜水艦技師、ブルース・ジョーンズ氏の発案です。ジョーンズ氏は、「海底二万哩」で知られるジュール・ヴェルヌの小説や、半漁人をテーマにしたロシア映画「両棲人間(The Amphibia Man)」の世界に憧れ、強い影響を受けたと述べています。
ゲストは、トリトンと呼ばれる小型潜水艦で、ラグーンを探検することができます。もう少し深い海の世界を見てみたいという方には、16人乗りの豪華潜水艦のツアーがおすすめです。このリゾートのためだけに造られた人工のポセイドン・ミステリー・アイランドでは、様々なアクティビティも楽しめます。この豪華リゾート、オープン前ですが、既に550平方フィート(約51平方メートル)のスタンダード・スイートで、一泊約1,500ドルという料金の目安が出ています。宝くじに当たった運のいい方や、セレブのあなたなら、300万ドルで、ポセイドン・ミステリー・アイランドを丸ごと貸し切るという手も!?

透明なアクリルで囲まれたカプセルのような客室の眼前には、青い幻想的な世界が広がります。魚の餌付けができる装置もあるそうです。プライバシーの心配もご無用。特殊フィルムを使っているので、外から内部は見えません。ゆったりと寛いでください。セイフティードームの設置、ダイバーによる救助など、いざという時の安全対策も整っています。万が一の場合には、特定の客室を切り離して、海面に浮かせることができる設計になっているようです。当初2008年開業予定だったこのホテル、完成が待たれます。

 

ポセイドン・アンダーシー・リゾート1

ポセイドン・アンダーシー・リゾート2

ポセイドン・アンダーシー・リゾート4

 

イスタンブールの水中ホテル

 

水中ホテルがブームになる日もそう遠くないかも知れません。トルコのイスタンブールにも2010年オープン予定の水中ホテルがあります。計画では水面下7階建てですが、一部の専門家の間ではこの程度の深さでは水中の景色が十分に楽しめない可能性があるとの意見もあります。

 

今後の水中ホテル建設プロジェクト

 
ハイドロポリスや、その姉妹プロジェクトの水中ホテルを中国の青島に建設中の企業が、将来、世界中に水中ホテルをオープンする計画を練っています。候補にあがっている都市は、ロンドン、モナコ、ミュンヘン、ニューヨーク、そしてイギリスのマン島。海に接していないロンドンやミュンヘンに、一体どんな水中ホテルを建てるのか?素人にはまったく見当もつきません。専門家の頭の中には、きっと何かとてつもない構想があるのでしょう。世界のいたるところに水中ホテルがオープンしたら、これまでは小説の世界でしかなかった海底生活も、もはや夢ではありません!

 

 

再生可能エネルギーの「水力発電」に注目する-14

 

世界では本格的に最後のフロンティアの「海」への進出が始まっている。

まだ海での「再生可能エネルギー」との共存までには至っていないが、海上・海中・海底の開発が進めば、必然的に海上での独自電源が必要になってくるだろう。

今後は海洋施設と海洋エネルギーの開発がセットで進行する。

そして「SFの父」と言われるフランスの作家ジュール・ヴェルヌが描く「海底二万マイル」の世界が現実になろううとしている。

海洋国の日本人が「夢の世界」をただ「指をくわえて」見ているだけで良いのか。

本当に真価が問われているのである。今の日本には、このような国家的な「プロジェクト」が必要であり、「夢と希望と未来」が見えなくなった日本を救うことができる。

 

ドバイ水中ホテル

http://www.deep-ocean-technology.com/

 

 

ドバイで水中ホテルの建築予定が発表された。観光客の海底探査の夢が叶う建物になっている。

この宇宙船のような姿をしたホテルは、水中部分が10メートルもある。ホテルには21の客室があり、水中の中心部とバーも設置されている。特別な照明システムで外側の動植物を照らし、危険があれば水中の部屋も浮かびあがるシステムになっている。

また、水中の部屋ではとても近い距離で海中の魚群を見ることができ、しかも太陽の光も楽しめる。

このホテルの責任者は「このプロジェクトには7種類のさまざまなデザインが施され、それぞれ5000万ドルから1億2000万ドルがかけられている。」と明かした。

 

 

 

 

 

 

 

再生可能エネルギーの「水力発電」に注目する-15

 

「水力発電」と「海上」との「相性」は最もよい。

「海上水力発電」というものがイメージされる。

すでに開発は開始されている。日本から発信される「新しい再生可能エネルギー」が

世界と日本を救う。

 

 

「開発コンセプト 」

海上渦潮発電は安定した「浮力」を利用した水力発電である

人類は自然エネルギーとして水力を有効利用してきた

自然界の「水力」と人工的な「水力」から、より安定した効率の良い「海上水力発電」の開発は可能である

それを「海洋渦潮発電」と命名する

海洋国日本の未来を切り開く海上での新たなエネルギー源として

これまでの水力発電設備の常識を覆す新しい水力発電である

 

 

国の海洋開発への基本計画があるが、現状は各開発分野において別々に進められているため、「豊かな未来の海洋開発」の全体像が明らかにはされていない。

既に世界では海洋での開発競争が始まっているのだ。

「海洋開発」と「エネルギー政策」を統合する、全く新しい「未来像」を提示することが必要であり、それなくては「日本の未来」を切り開くことができない。

その開発力が今の日本に存在しているのかが問われている。

(完)

 

 

再生可能エネルギーの「水力発電」に注目する-16

 

世は何故ゆえ「水力発電」に注目しないのか理解できない。

「水力発電」は太陽光発電の数百倍の発電効率を誇るのにである。

何かカラクリがありそうである。

 

大きなアドバンテージを有する水力発電

 

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120724/234797/?P=1

 

 以下、水力発電の優位性を列挙してみる。

 

【エネルギー効率が高い】


 水は、空気と異なり圧力をかけても圧縮されない非圧縮性であり、エネルギー密度は高い。また水力から電気へ変換される効率も高い。小さい発電所で8割以上、大きいところで9割程度である。水力発電の出力は、「9.8メートル毎秒毎秒(重力加速度)×流量(立方メートル/秒)×有効落差(メートル)×総合効率」で示される。総合効率は、変換(発電)効率と水車効率の積であるが、水車効率は9割程度なので、7~8割程度ということになる。設備利用率は、ダム式で4~5割、流れ込み式では6~7割である。また、水路建設などの土木工事を伴うが多くは地中に設置される。発電所自体はコンパクトであり面積を要しない。風と比較してみると、空気は圧縮性があり、密度は水の方が3ケタ高い。風力は、理論上の変換効率は最大6割であり(ベッツの法則)、設備利用率は3割程度である。火力発電は、変換効率は4割である。

 

【エネルギー収穫率が高い】

 

 このため、発電システムとしてエネルギー効率は最も高い。ドイツでは、産出されるエネルギーを建設時に費やされるエネルギーで除した「エネルギー収穫率:the harvesting factor」を重視しているが、水力は1200と唯一1000を超える。ちなみに風力は90、太陽熱13、太陽光1.3となっている。この指標が水力のアドバンテージを最もよく示す、としている。

 

【温室効果ガスを排出しない】


 二酸化炭素を排出しないという点でも、最高の評価を受けている。再エネのなかでも、際立ってクリーンで効率的なエネルギーである。「ライフサイクルの二酸化炭素排出量」は海洋エネルギーと並んで最も低い(資料6)。

資料6.再生可能エネルギ-のCO2排出量
(出所)IPCC、SRREN(2011/5)
画像のクリックで拡大表示

 

【多様な価値を持ち、社会コストが低い】


 再エネの弱点である出力の不安定性がない。流れ込み式はベース電源用であり、ダム式はピーク用、調整用を含め様々な用途に使える。風力・太陽光などと異なり、安定電源であり調整力を要しない。これは、地熱発電と同様のメリットがある。最近やや静かになっているが、公営企業の民営化が話題になって久しい。財源不足により維持更新投資が難しくなったことが大きな要因である。実際にガス事業とともに水力発電事業の売却が行われた。その際に、PPS(新電力)も、二酸化炭素フリーで調整力もある水力発電に大きな魅力を感じ応札したが、ほとんど一般電気事業者が落札した。

 

【長期的に安価】


 長い目で見ると、最もコストの安い電力である。きちんと維持管理すれば、少なくとも50年以上は稼働する。世界的に100年を超す発電所も珍しくない。ドイツでは、実際の耐用年数について、水力80年、原子力40年、太陽光30年、太陽熱と風力20年としている。

 

【技術は成熟】


 最も古い動力源の一つである。水車を活用することで、昔から動力として使われてきた。水のあるところに集落ができ、人の住むところに水があり(水を通し)、身近にあるエネルギーである。長い期間を経て、水車の技術は進歩し、水力発電はこれに乗った形で発達し、技術的に成熟している。発電利用が始まった時は、ほとんどの技術が揃っていた。また、人間の活動は水とともにあり、あらゆる地点で可能性がある。

 

このように、水力発電は魅力に富む電源である。水力は、自然エネルギーとしては圧倒的に密度が高く効率がいい。自然エネルギーを利用する発電としては最大のシェアを占めており、新興国・途上国を主に今後も多くの開発が予定されているが、それは理由があるからだ。日本でも戦前は小規模なものを含めて、どこにでも水力発電はあった。

 

初期投資の大きさと水利権の壁

 

【初期投資、リードタイム、維持管理】


 しかしながら、もちろん課題もある。まず、初期投資が高い。燃料費不要の裏返しともいえるが、総事業費の6~7割占める土木工事をはじめとして建設コストがかさむ。リードタイムも長い。水利権や環境アセスの調整などに地元調整を要し、土木工事にも時間がかかる。従って資金調達力が必要になる。特にダムを建設する場合は、自然形態への影響が懸念され、理解を得るのに時間を要する。事業自体も経験とノウハウを要する。収益性の鍵はいかに長期間運転し続けられるかにかかっている。設計・建設だけでなく運転やメンテナンスに細心の注意が必要になる。それを可能にする人材が不可欠になる。

 こうしてみると、安易に新規参入できる事業ではない。メガソーラーが安易だと言うつもり毛頭ないが(ソーラーの専門家は安易な参入の悪影響を懸念している)、FIT導入にもかかわらずソーラーに比べて水力があまり話題にならないのは、投資回収の期間が長すぎることが理由だろう。しかし、魅力に富む水力を利用するため、ここを突破すべきだ。地熱は関係者が一丸となって取り組んでいる。

 

【規制緩和が求められる水利権】


 規制も多い。河川法、電気事業法、自然公園法、環境評価法、灌漑など農業施設に関連する法令などである。特に水利権の許可を得るのは容易ではない。自然公園内の潜在可能量は2割であり、8割の地熱に比べると少ない。水利権は、貴重な水の使用を調整するもので、食糧生産と直結し歴史的にも水争いが頻繁に起きた。この規制の必要性は誰もが理解しているが、課題は手続きをいかに簡素化するかである。

 

水力開発が進んでいる日本では、適地が奥地化、小規模化し採算のいい地点が減ってきている。自由化進展に伴い長期的な視点で評価されにくくなった。そこで既存設備や未利用水を利用する小規模の建設が、数は少ないながらも、主流になってきた。1000キロワット未満が新エネルギー法、RPS制度の対象となったことも効いている。その結果、農業用水や水道用水、工業用水を利用するものが増え、事業主体は自治体、水道局、土地改良区(水土里ネット)、市民団体などの水力のプロとは言えない組織が多くなった。水利権についても、調整を要しないか複雑でないものが多い。こうした分野は、手続きの簡略化を進めていくべきであろう。地球環境的に最適で、原子力代替としても有力という新たな価値も出てきている。

 一方で、この「水力編」のテーマでもあるが、河川を利用する新規開発という「直球」を投げ込む必要がある。一般電気事業者、J-Power(電源開発)に期待したいところである。実行力のあるソフトバンクには、水力発電にぜひ参入してほしい。

 

【水利権の定義と解説】


 水利権は、歴史的な権利と言える。生活あるいは地域そのものであり、9電力体制の地域独占をも超える非常に強固な権利である。戦前の発電用の水利権がそのまま引き継がれている。東京電力は、信濃川系、阿賀野川に権利を持っており、長野県、新潟県、福島県に水力発電を持つ。関西電力は、揚水発電以外は管轄区域外にある。木曽川、神通川、黒部川に権利を持つ。「黒部の太陽」の主人公は関西電力である。

 資源エネルギー庁が主催の「水力発電に関する研究会」中間報告(2009年7月)では、河川法逐条解説を引用し次のように解説している(資料7)。

 

(出所)資源エネルギ-庁、水力発電に関する研究会中間報告(2009/7)
画像のクリックで拡大表示

 

 上記の定義によれば、影響を受ける関係者との調整は、当事者で行うべき「民民関係」であるが、基本的に河川管理者の役割である。「河川機能の維持」は、管理者に認めてもらう必要があり、2級河川など地方自治体の管理下のものでも国交省(河川局)は関与できる。また、農業用水を利用するなどの「完全従属使用」の場合は、河川の流量に追加的な影響ないが、使用目的が異なるなどの理由で水利権の許可が必要になる。

 一方で、発電用水の流水に及ぼす影響は、水道、農業、工業など他の用水に比べて小さいともいえる。取水した水はほぼそのまま河川に戻る。厳密には取水口から発電所の区間(減水区間)にのみ影響がある。これまで累次にわたり規制緩和が行われ、手続き面での進捗が見られるが、まだ関係者の負担感は大きい。このたび地熱発電で自然公園内開発の規制緩和が大きく進んだが、水利権に関しては目立った動きは見られない。

 

水力発電の耐用年数は長い。法定の平均耐用年数は約40年であり、50年以上はもつ。一方で、燃料費は不要であり、経費のほとんどは償却・金利・租税公課・修繕費の資本コストそして人件費である。圧倒的に固定費の割合が高い。一方、収入は流水量に依存するが、これは過去の降水量などのデータによりかなりの程度予想できるし、渇水準備金を計上する、天候デリバティブなどを利用することで平準化できる。水力発電は、メンテナンスをしっかりとしていれば、超長期にわたり収入とコストが予想できる(維持流量増などの水利権ルールが変わるなどの政策リスクには要留意)。

 

 この超長期の稼動を前提とすると発電コストは非常に安くなる。昔建設された水力発電は軒並み低コストとなっており、社会的に見ても望ましい投資である。一方で、初期投資が大きく回収に長期を要する事業は、当初の資金繰りが逼迫するなど、民間事業者が二の足を踏む傾向がある。超長期稼動のメリットを当初より顕在化させることができれば、投資を行いやすくなる。

 最初から、長期稼働が前提となっていれば、そうした視点で設計・建設を行い、また運転・メンテナンスの体制が整っていることが、不可欠となる。短期収益を狙う事業者は参入せず(できず)、自ずと持続可能な経営に基づく(意識の高い)事業者が手がけることになる。しかも、少ない補助金で電気料金上昇を抑えることができる。

 ある程度の建設補助金と超長期の低利融資の組み合わせが、本来合理的である。長期であるほど低利資金の威力は増す。民間資金の呼び水にもなる。ライフサイクルで運用する年金資金の活用や超長期国債の発行を行い、これに利子補給を組み合わせることで、より少ない財政負担で多くの投資ができる。換言すれば、一定の財源でより多くの投資を喚起することができる。いわゆる政策金融の活用である。旧日本開発銀行には、30~35年の低利融資制度があった。しかし、政策金融の議論は、あまり聞こえてこない。

 調達価格等算定委員会の議論では、事業者側は「より長期の買い取り期間が望ましいのだが、資金調達の制約もあり、15~20年の前提では20年を要望する」と主張した。これは、消極的な理由である。21年以降の買い取り条件が不透明でもあり、再投資を含め20年間で回収が実現できるとの前提でコストを計算している。その結果買い取り価格は高くなる。21年以降の運転をも睨んだ持続可能な運営をするのだろうか、という問題も惹起する。水力発電事業の本質を理解しているプロフェショナルは、この点を懸念している。小さい規模で土木工事をあまり伴わない機器設置がメインの事業には、まだ馴染むかもしれないが、伝統的な相当規模の事業は、21年以降も運営するインセンティブをいかに用意するかが問われる。

 

 

再生可能エネルギーの「水力発電」に注目する-17

 

地方自治体の小型水力発電開発が進行している。

 

小型水力発電普及加速へ 政投銀が初融資、再生エネ多様に

日本経済新聞 2013/4/25

 

再生可能エネルギーの新たなけん引役として小型水力発電プロジェクトが国内で相次ぎ動き出す。日本政策投資銀行は26日、鹿児島県で小型水力発電所の建設を計画する企業に初めて融資する。標準家庭で1000世帯程度の電力をまかなえる小水力は国内で数多くの建設候補地があり、再生エネの全量買い取り制度導入で投資回収が容易になった。政投銀を皮切りに金融機関の融資が今後増える見通しで、太陽光発電のように新規参入が相次ぎそうだ。

 小水力は河川などを流れる水を水路に取り込み落下させ、その水圧でタービンを回して発電する。ダムなど大規模な開発が必要なく、環境への影響も小さい。今後新設の中心となる発電能力1000キロワット未満の小水力は国内の合計発電能力が約20万キロワットと太陽光(約660万キロワット)に比べ非常に少なかったが、買い取り制度導入で事業化が容易になった。

 政投銀は小水力発電への融資を本格化する計画で、第1弾として鹿児島銀行と九州発電(鹿児島市)に約15億円を協調融資する。九州発電は鹿児島県内の企業が共同出資した会社で、県内に40カ所の発電施設を建設する計画。今回の資金を活用し、同県南部(肝付町)に同社初の施設(発電能力995キロワット)を建設、2014年5月に稼働させる予定だ。標準的な家庭で約1400世帯の電力を供給できる。

 政投銀は九州発電が鹿児島県霧島市で計画している別の小水力発電所への融資も検討している。小水力の買い取り価格は発電能力200~1000キロワットで1キロワット時当たり30.45円に設定され、単純計算で10年以内に投資回収できる。

 金融機関は買い取り制度への申請手続きが比較的に容易なメガソーラー(大規模太陽光発電所)に積極的に関わってきたが、今後は小水力発電への融資も加速しそうだ。

 国内では丸紅が山梨県北杜市や長野県茅野市で小水力発電を手掛けており、20年までに国内20カ所以上の新設を計画。東京電力子会社の東京発電(東京・港)が神奈川県箱根町で29年前に廃止された小水力発電所を再開発する計画。再生可能エネの買い取り制度導入を機に導入を検討する企業や自治体は増えている。

 

兵庫県、2ダムで小水力発電 農水省と共同

日本経済新聞 2013/4/23

 

兵庫県企業庁は、県内2カ所のダムで小水力発電に乗り出す。農林水産省と共同で発電設備を整え、2015年度内に運転を始める計画。最大出力は200~300キロワット級で、全量を関西電力に売電する。収益は農水省と分け合う。県は13年度予算にまず設計費を盛り込んだ。

 対象は呑吐(どんど)ダム(三木市)と大川瀬ダム(三田市)。ともに近畿農政局との共同事業で建設し、農業用水と上水道に使っている。水圧があり、水量が年間を通じて一定しているなど条件が整っているため導入を決めた。

 取水設備の流路から水流を分岐、水車に通して発電する。最大出力は呑吐が327キロワット、大川瀬が171キロワットで、年間に158万キロワット時、91万キロワット時を発電する。それぞれ一般家庭440軒、250軒分の年間使用量に相当する。

 14年度に着工する予定だが、再生可能エネルギーの中小水力発電の買い取り価格を踏まえて最終判断する。建設費は呑吐が4億円、大川瀬が2億4000万円。企業庁が5割弱を拠出し、収益も分け合う。2ダム合計で年間1700万円が県の収益となる見通し。

 

徳島県、農業用ダムに小水力発電 売電収入で農業施設管理

日本経済新聞 2013/2/20

 

徳島県は来年3月、農業用水用の夏子ダム(美馬市)で小水力発電設備を稼働させる。電力全量を四国電力に売電し、収入をダムのほか、周辺灌漑(かんがい)施設の維持管理に充てる。発電設備は稼働後、ダム、灌漑施設とともに周辺市町村に譲渡する予定。市町村による灌漑など土地改良施設の管理負担の軽減につなげる手法として注目されそうだ。

 夏子ダムは河川の環境維持のため、常に一定の水量を下流に放流する義務がある。この維持放流設備に小水力発電設備を取り付ける。農業用水は冬場は取水しないことが多いが、夏子ダムは放流義務のため、通年で取水、放流しており、県は小水力発電に適していると判断した。

 総事業費は9000万円で土地改良事業により国が50%、県が25%、市が25%負担する。発電設備の出力は29キロワット。年間発電量は19万3000キロワット時で、一般家庭46世帯分の消費電力に相当する。固定価格買い取り制度を活用し、全量を四国電力に売電する。

 売電による収入は年間約700万円となる見込み。ダムの維持管理費のほか、農業用ポンプ、用水路などの灌漑施設の維持管理に充てる。

 ダムや灌漑施設などの土地改良施設は整備終了後、県が市町村に譲渡し、維持管理は市町村が負担することになっている。県などが小水力発電設備を整備し、市町村に灌漑設備などと一緒に譲渡することで、こうした土地改良施設の市町村による維持負担が軽減できる効果が見込める。

 徳島県は日照時間に恵まれている上、水量が豊富な吉野川の支流など傾斜地を流れる急流も多く、県はクリーンエネルギーとして注目されている小水力発電に力を入れている。県は今回の美馬市の事業の効果や費用などを分析し、小水力発電の様々な活用方法を探る方針だ。

  

日経BP未来予想研究所 未来予測レポートより

 

水力発電を過小評価していませんか?

 

未開発の地点はまだ多く残っている

 

日経ビジネスより転載

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120702/234016/

 

今回から数回にわたり水力発電を取り上げる。日本の再生可能エネルギーは全電力発電量の1割を占めるが、そのほとんどが水力である。最近では、水道事業や農業用水路がもつ余剰エネルギーを利用した小規模の水力発電を設置しようとする動きが盛んである。都市部から中山間地区まで、地域でもできる身近な電力として注目が集まる。

 固定価格買い取り制度(FIT)の買い取り条件がかなり魅力的になったことで、新規事業に現実味が出てきた。今回は、日本の水力発電を取り巻く環境と、そのなかで導入されるFITの意義および可能性について解説する。

 

長く続いた試練の時代

 

 水力発電は、水が持つ位置エネルギーを機械(回転)エネルギーそして電力に変換する。出力は、「9.8×流量(立方メートル/秒)×有効落差(メートル)×効率」の式で示される。位置エネルギーが持つ圧力と水量に比例する。

 様々な種類がある。河川の流れを利用する「流れ込み式」は、堰堤と水路を建設し距離と高さを確保して常時発電し、ベース電源として利用される。「ダム式」は、高さを確保するために河川を堰き止め貯水池に貯めるが、ピーク対応を含めて多様な使い方ができる。多目的ダムとして建設されその機能の一部を発電として利用することも多い。「ダム水路式」は流れ込み式とダム式の両方の機能を備えている。

 最近では、補助の手厚く、比較的関係者の調整がつきやすい農業用水路を利用する例が増えている。また、水道事業を利用する小水力発電は、2004年に東京発電が川崎市に提案・設置して以来、着実に増えている。

 しかし、少し長い目で見ると、日本では水力発電は一定規模以上の開発がほとんど途絶え、昔開発された小規模発電所もメンテナンスコストに耐えられず、廃止になったものも多い。

 水力発電は、日本の発電量の約1割を占める重要電源であるが、長期的にそのシェアを落としてきており、ここ20年間は、目立った新規開発がなされていない(資料1、2)。

 

戦後、経済成長初期段階の電力不足のなかで、国産の豊富な水資源が注目され主要電源として国を挙げて開発が行われた。世銀借款を利用して開発された関西電力の黒部川第四発電所はその象徴である。その後、石油火力発電などを多く利用する「火主水従」となる。また、海外炭、LNG、原子力の大規模で安価な電源が続々と建設されるとともに、比較的コストが低い大規模水力に開発が絞られるが、経済性のある開発地点は減少し、水力発電の開発は滞った。

 2000年前後から始まった電力自由化が低コスト電源開発に拍車をかけることになり、初期投資が大きく懐妊期間の長い水力発電の投資は一層滞る。超長期の稼働が生む低コスト電源を待つ余裕がなくなった。当時「キロワット時当たり10円を越えるものは開発し難い」という声を聞いたことがある。

 河川水を利用するオーソドックスな新規水力開発への情熱が途絶えて久しい。以前から計画がある一般電気事業者のスケジュール投資、補助率の高い自治体が関係する中小水力や農業用水路を利用する事業、既存設備の余剰利用や再開発、水道設備等を利用する新事業が散見される程度にとどまっている。自然環境への懸念もダム建設を躊躇する要因である。

 

表面化する人材不足

 

 ここで、水力発電事業の担い手は誰かを確認してみる。2010年3月末時点の水力発電設備は、1727カ所に約4800万キロワットの設備容量がある。内訳は、東京電力、関西電力などの一般電気事業者が73%、電源開発(J-POWER)が18%、公営電力会社が3%、その他(水力発電専門会社)が1%、自家発用が6%となっており、一般電気事業者と電源開発で9割を占める。揚水発電を除いても8割である。東京発電、東星興業、黒部川電力などの電力会社系中小水力発電会社は1%弱にとどまる。

 水力発電会社や電力会社の水力担当部署は、既存発電所の運転と維持管理が主要業務となるが、運営効率化を求めて、集中管理・制御や発電所の無人化が進展したこともあり、設計、製造、開発、運転、メンテナンスなどの水力発電関連技術者が減少してきている。本シリーズの地熱編でも大きな問題として触れたが、水力も同じような悩みを抱えていると言える。

 しかし、未開発の地点はまだ多く残っている。資源エネルギー庁が定期的に調査する全国包蔵水力調査によると、未開発の出力は1200万キロワットあり、FIT対象の3万キロワット未満は8割強を占める。「1000キロワット未満」は24万キロワットで2%、「1000キロワット以上3000キロワット未満」は226万キロワットで19%となる。

 一方、地点数では、全体で2713地点あるが、3万キロワット未満で98%を占め、うち「1000キロワット未満」は371地点で14%、「1000キロワット以上3000キロワット未満」は1232地点で45%となる(資料3)。

開発量確保をにらみ3万キロワット未満をFITの対象に

 

 FITの対象となる水力発電は、3万キロワット以下の「中小水力」である。RPS(買い取り義務量規制)制度では、新エネルギーに位置づけられていた1000キロワット未満でかつダム建設を伴わない水路式に限定されていた。FITでは、中規模まで拡大しており、開発量確保の姿勢がみられる。3万キロワットを上限としているのは、環境負荷への配慮と未開発の包蔵水力量の多さによるものと考えられる。

 水力発電は、世界的に規模によって次のように区分される。10万キロワット程度以上の大水力(large)、1万~10万キロワットの中水力(medium)、1000~1万キロワットの小水力(small)、100~1000キロワットのミニ水力(mini)そして100キロワット程度以下のマイクロ水力(micro)である。明確な定義はないが、一般に1万キロワット未満が「小水力」である。ただ、新エネルギー法上の小水力が1000キロワット未満とされており、RPS制度もそれを適用したことから、1000キロワットの印象が強い。

 また、資源エネルギー庁の中小水力建設補助金の補助率は、5000キロワット以下で20%、5000~3万キロワット以下で10%そしてRPS認定の場合は10%割増しとなっていた(FITの導入により廃止)。FIT対象は、補助金対象規模でもある。

 中小水力のFIT条件は、1000キロワット以上3万キロワット未満で24円(税抜き、以下同様)、200キロワット以上1000キロワット未満で29円、200キロワット未満で34円と規模により3段階の水準となった。期間は20年である。この水準を、コスト等検証委員会(コスト委員会)の数字と調達価格等算定委員会(FIT委員会)による議論を振り返りながら検証してみる。

 国家戦略室が担当するコスト委員会では、「大規模電源としての一般水力」と「小水力」の2つに区分して試算している。モデルプラントは一般水力として1万2000キロワット、小水力として200キロワットを取り上げているが、報告書をみる限り2区分を仕切る具体的な基準は見当たらない。稼働年数を平均耐用年数の40年に設定し、減価償却などはこれを基に計算している。

 一方、FIT委員会でヒアリングに応じた事業者は、公営電気事業経営者会議(以下公営電気)と全国小水力利用推進協議会(以下小水力協)である。前者は地方公共団体の企業局などによって構成される組織で、コスト委員会の区分である「一般水力」の代表なので「1000キロワット~3万キロワット」の範囲の議論を受け持った。後者は、コスト等検証委員会でいう「小水力」の代表であり、「1000キロワット未満」の議論を受け持った。

 

1000キロワット~3万キロワットの「一般水力」

 

 コスト委員会は、一般水力について、直近7年間で稼働した3事例(北海道電力2件と中国電力1件)の平均値を取っている。出力当たり建設費は1キロワット当たり85万円で、設備利用率は45%であることから、発電量当たりの建設費は1キロワット時当たり215円となる。この建設費をベースにして、減価償却などの資本費や運転維持費を時間当たりで計算し、1キロワット時当たり10.6円の買い取り価格を算出した。適正利益は含まれていない(資料4)。

 なお、建設単価として「キロワット当たり」に加えて「キロワット時当たり」を使うのは、水力発電の場合、水利権の配分などにより使用できる水量に差が生じ、それを勘案して最適な規模を検討することになるからである。

 一方の公営電気は、試算の前提として3000キロワット以下の事例を取る。未開発地点数の6割を占め、今後の開発はこの領域が中心となるという考え方だ。2006年度以降に開発済みまたは開発が予定されている29地点について、その平均値である1キロワット当たり136万円および1キロワット時あたり300円の建設費を前提としている。設備利用率の平均値は52%である。コストについては、公営事業会計の考え方に基づいて適正利潤を含む諸経費を想定した経費率の8%を採用している。これを発電量で除すと、要望する買い取り期間20年で1キロワット時当たり24円、平均耐用年数の40年では同20円となる。

 FIT委員会の結論としては、公営電気が提示した20年間、24円がそのまま採用された。前提となる3000キロワット以下の事例は、比較的小規模でありかつ開発できなかった案件も含まれていることからコストが高く出るが、一方で利益は損しない程度にとどまっている。こうしたなかで、コスト自体は国家戦略室の数値10.56円を採用するとともにIRR7%を想定する。結果として公営電気の主張する水準になる、というのがその理由である。

200キロワットをベースに「小水力」を算定

 

 コスト委員会は、小水力について、直近3年間に建設が終了した設備を参考に試算し、200キロワットを取り上げている。出力当たり建設費は1キロワット当たり80万~100万円で、設備利用率は60%であることから、1キロワット時当たりの建設費は152~190円となる。これから減価償却などの資本費や運転維持費を時間当たりで計算し、買い取り価格を1キロワット時当たり19.1~22.0円とした。

 一方の小水力協は、まずコスト委員会が示した200キロワットの試算を分析したうえで、減価償却期間を要望買い取り期間である20年間に引き直し(圧縮し)て、コストを再計算した。その結果、単年度コストは1キロワット時当たり21.60~25.04円となる。建設償却費と創業費に分解すると、それぞれ7.61円、13.99円および9.51円、15.53円となる。IRR(内部収益率)をドイツなどを参考に7%とした結果、買い取り価格は1キロワット時当たり28.84~34.06円となる

 

小水力協は、コスト委員会の数値を基に計算した数字について、自ら行った試算と比べて「建設費が安く操業費が高いが、全体として当初3年間の単価として妥当」とする。建設費の算定に際しては、過去に建設された(例外的な)発電所ではなく、(太宗を占める)建設に至らなかったものの費用を基に算出すべきである、と強く主張する。実際に、政府も関与した小水力に係る「ハイドロバレー計画」136件の建設費は、1キロワット当たり100万~180万円が多い。

 そこで小水力協は、200~1000キロワットは建設費を120万円以上、200キロワット以下は140万円以上と想定すべきであり、買い取り価格も200~1000キロワットは下限の28.84円、200キロワット以下は上限の34.06円とするのが適当と主張した。200キロワット以下では機器の割高感が高まり、地域社会が非営利で取り組む規模に該当するからである。FIT委員会は、小水力協の主張を大筋で認め、要望通りの条件とした。

 こうしてみると、水力のコスト推定は、あいまいな点が多い。出力では太宗を占める3000キロワット以上の議論がほとんどない。1900もの多数の発電所がありながら、サンプルとして検討した数は少ない。小水力として200キロワットを軸に検討しているが、参考にした例が偏っている懸念もある。RPSの1000キロワット未満の小水力から、3万キロワット未満の中小水力に拡大しながら、主要な担い手である電力会社や水力発電会社がヒアリングなどに登場していないことも問題だろう。ただ、結果として認められた24円、29円、34円は、「暫定的」に3年間様子をみるものとしては妥当な水準であろう。

 

電力会社の水力発電部隊の出番

 

 一般電気事業者は、FITの体系上は買い取る側であり、自ら開発するものはその対象とはならない。また、昨今の環境下では、子会社を使って自ら開発することはもうけ過ぎ批判を招くのではないか、と慎重に考えているのかもしれない。しかし、ボリュームを伴う再エネ開発が強く求められている中で、人材やノウハウをほぼ独占している電発を含む電力会社がその気にならなければ、実効ある開発は難しい。ここは、電力会社の水力部隊の出番である。若手育成や退職した方に活躍してもらうことを含め、期待したい。世論も賛同すると思われる。

 

中小水力発電、開発構想が各地で始動 国内の潜在力は原発14基分

 

日本経済新聞 2013/1/8

 

日本の国土には、水の落差を利用して中小規模の水力発電を行える場所は多い。環境省の調査によると、全国の河川部で原発14基分に相当する開発余地があるという。そして、2012年7月からスタートした再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度では、出力3万キロワット(kw)以下の中小水力が対象となり、全国で発電所を建設する構想が動き始めている。開発構想が実現するには、地元との合意形成が必要。自治体の支援を得ながら開発を進める動きも見られる。

  
中小水力発電では水路式という手法が代表的。高い地点で取水した水を発電所の頭上に導き、落下させて水車を回転させた後は再び河川に戻す

中小水力発電では水路式という手法が代表的。高い地点で取水した水を発電所の頭上に導き、落下させて水車を回転させた後は再び河川に戻す

 

 水力発電は最も古典的な発電である。水が落下するエネルギーで水車を回転させて発電する。1878年に英国で建設されたのが世界で最初の発電所とされるが、国内でも1891年(明治24年)には琵琶湖疏水(そすい)を利用した蹴上(けあげ)発電所が京都で発電を開始した。これが国内の商業発電所第1号で、世界的にも最も初期の水力発電所の1つに数えられる。日本は水力発電先進国だった。

 2012年7月に始まった固定価格買い取り制度(FIT)では、出力3万kW未満の「中小水力」が買い取り対象になる。水力は国内の電力需要の1割を賄っており、今も電力供給の柱と言えるが、ダム式の大規模発電所は未開発の適地が少なくなり、環境破壊も懸念されるため新規建設は難しい。しかし、起伏に富む国土は少水量でもダム無しで落差が取れる中小水力の適地が多い。環境省の調査では、全国の河川部には約2万地点に、原発14基分に相当する1400万kWの開発余地がある。開発が下火になって久しい水力だが、再び注目が集まっている。

 

中小水力の導入可能性は、200~5000kWの潜在力が大きい(出所:環境省「再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査」

中小水力の導入可能性は、200~5000kWの潜在力が大きい(出所:環境省「再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査」

 

 東京電力の子会社で水力発電の卸電気事業者(IPP)、東京発電(東京都港区)が2012年8月末、「須雲川発電所」の再開発計画を発表した。

 須雲川発電所は、もともと神奈川県箱根町の旅館が1954年に自家発電用に建てた出力120kWという小規模な水力である。老朽化が進んだ84年に廃止され、箱根町に譲渡されていた残存施設が東京発電の目に留まった。2011年春から箱根町や地権者、漁業組合などと再開発計画について協議を重ね、水量や関連施設などの現地調査を経て、2012年10月、箱根町から正式に受け渡された。

 

■再開発は高収益

 計画では、水車などを新品に更新し、2013年4月の発電再開を目指す。最新の機械で生まれ変わる発電所は最大出力が190kWに増え、年間に生み出す約110万kWhの電力は、一般家庭250軒分の使用量に相当する。東京発電にとって、FITの買い取り対象設備の第1弾になる見込みだ。

 東京発電は、1928年に新潟県姫川流域で水力発電を開発する目的で東京電灯(現・東京電力)などが出資して設立した姫川電力が前身。60年代半ば以降、火力の台頭などで競争力が低下した水力発電の統廃合が進み、県営や民間の施設を買収して成長した。現在、関東甲信越に68カ所、合計出力で18万3750kWの発電所を所有する。日本の水力を最も熟知した企業と言える。

 そんな東京発電のFIT第1号が新設ではなく、30年近く前に廃止になった発電所跡地の再開発というのは意外に見えるかもしれない。190kWという規模も、数ある同社の発電施設と比べてかなり小さい。

だが、今回の再開発はたまたまでも成り行きでもない。同社が新規事業の柱と位置づけている取り組みなのである。「FITで採算性が高まったことで、放棄されていた発電所の再生が可能になった」と水力発電事業部の瀧沢雅仁・開発グループマネージャーは話す。

 FITでは水力発電の買い取り区分が出力規模によって3つに分かれている。「1000kW以上、3万kW未満」が25.2円(税込み)で、「200kW以上、1000kW未満」が30.45円、「200kW未満」が35.7円となる。発電規模が小さいほど買い取り価格は高い。

 戦後、小水力ブームが2度あった。1度目は52年の農山漁村電気導入促進法。9電力による地域独占が確立した中で、例外的に農山村振興などの目的から系統接続が可能な小規模発電所を認める制度だった。2度目は70年台の石油ショック後で、代替エネルギーとして建設に政府が補助金を出したことから、県などによる公営電気事業や農業用水路を使った発電事業が広がった。こうした経緯の中ですでに廃止になったり、老朽化して効率が悪くなったりした小規模発電所が日本各地にある。

 東京発電がこれらの再開発に力を入れるのは、高い収益が期待できるためだ。水の落下エネルギーを電気に換える水力発電は、水車や発電機さえ設置すれば完成するというわけではない。水車に落とす水の量や落差を確保するための堰堤(えんてい)や導水路などの建設が必要になる。新設の場合、費用は機械設備が3割で土木工事が7割と言われるが、廃止設備や老朽設備の場合、残存する土木設備は補修すれば使えるものが少なくない。新設に比べて投資を安く抑えられるため、発電事業の収益性は高くなる。

 

廃止した水力発電所を再生するときには、導水路などの土木設備は補修すれば再利用できるものも多い(画像提供:東京発電)

廃止した水力発電所を再生するときには、導水路などの土木設備は補修すれば再利用できるものも多い(画像提供:東京発電)

 

■水利権のハードル

 もう1つ大きな理由がある。水力発電の建設で重要な要素になる水利権や地元の合意が、再生事業の場合、比較的得やすいのである。

 エネルギー源となる河川水の利用は無料だが、太陽光や風力と異なり、国民の資産と位置づけられている河川水を勝手に事業に使うことは許されない。利用には河川法に基づく許可(水利権)が必要になる。申請には、発電が河川水量や環境に与える影響を評価するための流量調査や生態系調査などが必要で、新規の場合、取得できたとしても3年ほどかかることがある。

 加えて河川は農業や漁業など地域経済とのつながりが深い。発電所建設には地権者の他、周辺の農業や漁業関係者など利害関係者の合意が欠かせない。各地の水力発電建設を支援する全国小水力利用推進協議会の中島大・事務局長は「地域資源を活用する水力発電は地域主導が理想で、とりわけ新設の場合、技術力や資本力だけに頼った開発は地域の賛同が得にくい」と見る。

 

静岡県を拠点に物流業などを展開する鈴与グループの鈴与建設(静岡市)。同社で新規事業開発を担当している松浦真明取締役は「鈴与グループとしてFITをビジネスチャンスと捉え、鈴与商事が太陽光に、当社が水力に取り組む。2年前から調査してきた」と話す。

 とはいえ、経験がない同社にとってハードルは高い。まず、技術的知見を補うため、東京発電との連携を決めた。東電管内での発電事業が基本の東京発電側から見れば、技術支援ビジネスを広げる機会になる。

 

■農業用水と地域連携

 次の問題は候補地探しだ。「買い取り価格が優遇される最初の3年にどこまで事業を進められるかを考えたとき、水利権の緩和が期待できる農業用水路が有力候補」と松浦氏は見る。国土交通省は、かんがい用に水利権が確立している農業用水路などを2次利用して発電に使う場合、登録だけで済ます規制緩和の方針を打ち出している。だが、一企業が農業用水路を調査するのは難しい。

 鈴与建設は県との連携を重視する。規制緩和の動きを背景に、静岡県は農業用水を管理する土地改良区や地元企業、NPO(非営利団体)を集めて意見交換を進める協議会を立ち上げた。鈴与建設は協議会メンバーが共同で候補地を調査するプロジェクトを提案。具体的な案件をチームで掘り起こしていく。「農業用水を利用した発電は水利権者である土地改良区の合意があって成り立つ。県による調整に期待するものも大きい。水力発電の開発には地域の協調が欠かせない」と松浦氏は話す。

 ポイントは地域との連携や協調だ。丸紅傘下の電力卸、三峰川電力(東京都千代田区)が山梨県北杜市村山六ヶ村堰(せき、農業用水路)で、4月に発電を始めた3基の小水力は、自治体と企業の協同がうまく進んだ事例と言える。発電所はいずれも新設で、200~230kWの3基の年間発電量は計460万kWhに上る。

 

山梨県北杜市の農業用水路を利用した丸紅の水力発電設備(右は水車発電機)

 

山梨県北杜市の農業用水路を利用した丸紅の水力発電設備(右は水車発電機)

 

「山梨県が実施した水力開発調査で候補に挙がった村山六ヶ村堰を初めて見たのは2009年の秋。これが縁で北杜市の検討委員会に参加させてもらい、2011年春には共同事業の協定を結んだ。現地見学からわずか2年半で発電にまでこぎつけたのは、市の水力開発に対する一貫した前向きの姿勢が大きかった」と丸紅国内電力プロジェクト部の大西英一・電力事業チーム長は振り返る。

 北杜市は2007年に自前で村山六ヶ村堰に1基を建設していた。三峰川電力の3基を合わせた4基の小水力が発電する電力は、市の世帯消費の1割近くに相当する。3基の建設費用は補助金を除いて三峰川電力が負担する一方で、市は水路敷設に必要な土地などを提供した。「土地改良区との合意作りや建設に必要な行政手続きも市の協力でスムーズに進んだ」と大西チーム長は言う。

 

地域企業などの取り組みで水力開発が加速しているのが、1月に水力専門の発電会社、九州発電(鹿児島市)が立ち上がった鹿児島県だ。同社は6年で県内に40カ所、合計の出力で2万4000kW(5万世帯分相当)の小水力発電所建設を計画する。総事業費は240億円に上る。小水力でこれだけ大規模な計画を打ち出している事業者は他にない。

■一丸で乗り出す鹿児島県、地域の活性化を目指す

 すでに肝付町馬口川で1550kW(事業費15億円)、霧島市手篭川で960kW(同11億円)の発電所建設が具体化している。いずれも河川を利用する設備で、水利権は新規に取得する必要があるが、「(河川の管理者である)市や町、県も水力開発には前向きで、スムーズな手続きを期待している」と古田功社長は話す。

 九州発電は、鹿児島を中心に酒類販売やコンビニ展開を手掛ける本坊商店(鹿児島市)と、建設資材や燃料などを扱う総合商社の南国殖産(鹿児島市)という地元の有力企業2社の出資によって設立された。同社には、県議や自治体首長、地元企業などが集まって立ち上げた鹿児島県小水力利用推進協議会の“実行部隊”という性格がある。古田社長は協議会の元事務局長だった。

 その古田社長は「伊藤祐一郎知事の存在が大きな推進力になっている」と話す。知事は再生可能エネルギーに積極的で、7月の選挙でも太陽光や水力の推進を掲げて3選を果たした。地域の活性化を目指して県が一丸となって水力発電に取り組む機運が、「県内40カ所」という大きな計画につながっているのだ。

 これまで中小水力の開発は、民間事業の場合で建設費の3分の1、県や地方公共団体には2分の1が支給される補助金がベースになっていた。結果的には自治体(公営電気事業)や土地改良区などの地域団体が主体となるケースが多かった。

 FIT制度では補助金がなくなり、買い取り価格と期間を保証する。事業費用は事業者が全額負担(調達)し、売電収入で回収していくのが基本的な事業モデルになる。ある意味、民間事業者が得意とする形だ。

 一方で河川などの地域の資産を使う水力発電事業に地域との連携や協調は欠かせない。企業と地域の連携では事業収益の地域還元も課題になる。これまで電源開発を担ってきた電力会社の事業にもそうした側面はあった。自治体の全面支援を得た三峰川電力や九州発電は、今のところ特別な例と言える。

 全国に広がる豊かな水力資源を有効に活用する企業と地域の連携は模索が続いている。

 

 

 (日経エコロジー 中西清隆)

日経エコロジー2013年1月号の記事を基に再構成

 

勝手創千界への

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2013年

6月

09日

勝手創千界から世界へ

この世界が持つ多くの問題への解決は待っていては果たせない

より良き社会を目指して我が「勝手自由なる提案」を創り上げていく

そして「勝手創千界」の描く世界から解決に向けての一歩を踏み出す

10 コメント

2013年

1月

01日

勝手にエネルギー論を構築する

人類の行く末は「エネルギー」を如何に獲得していくかである。

日本の社会も経済も「エネルギー問題」の解決抜きには語れない。

6 コメント

2012年

10月

02日

新しいエネルギー開発に向けて

「水危機」と「エネルギー危機」が目前に迫っている。この二つの「危機」だけでも「人類の生存基盤」の危機である。 一刻も早く、地球と人類にとって安全・安心な「自然エネルギー」「再生可能エネルギー」の開発が求められている。

10年、100年先の「危機管理」として、今から行動しなければ遅いことは明白だ。

「消費社会」から「循環社会」「持続可能社会」「自然共生社会」「エネルギー自立社会」へ向けての「意識改革」と「構造改革」が重要である。

7 コメント

2012年

7月

08日

新しい日本改造に向けて

国の言う「国民のための判断」が本当でないことが明らかにされているいま

国民の持つ価値観として、何が大事で何が大事でないかという判断や、ものごとの優先順位づけ、ものごとの重み付けの体系の価値判断から、3.11震災を契機にした「新しい価値観」と「国民全体の幸福度」についての「提言」が、いまこそ日本に必要である。

10 コメント

2012年

6月

04日

勝手に発想法を研究する

差し迫る「少子高齢化の縮小社会への突入」「産業の空洞化」「エネルギー問題」「雇用問題」「財政問題」等々・・・日本社会が抱える問題は多岐に渡るが、政治や行政や官僚に「問題解決能力」の欠如が著しい。

さらに日本の技術を支える産業界や学界の「研究開発機関」においても「劣化」が進んでいる。

今こそ「フロンティア精神」と「新しい発想」が連動して「革新的なイノベーション技術」を生み出していくことが必要だ。

6 コメント

2012年

5月

01日

自然エネルギーと共に生きる

日本の自立と未来を切り開くためには、日本の国土に適合した再生可能エネルギーの社会が必要であり、最先端の日本技術を結集して「世界に誇れる日本」を創っていかなければならない。

15 コメント

2012年

4月

07日

勝手創千界から「尊敬される日本」へ

まず、現状のまま進行した100年後の日本の未来を想定し、その想定社会状況から、今必要な「方策」を考えてゆく視点が必要ではないかと思っています。新しい視点が必要です。

「勝手創千界」による「勝手な発想」が「脳内停止」状態の人々に「インパクト」を与えなくてはいけません。

13 コメント

2012年

3月

11日

3.11震災から海上都市計画へ

3.11震災を契機として、日本という国家のもつ様々な問題点が明らかにされ、新しい国家像が求められている。たぶんこのままでは、さらに日本の解体状況は進んでいくだろう。ラブーン海上都市計画がひとつの方向性を提示できればと思う。

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2012年

2月

19日

勝手に復興計画 in 石巻を提案

3.11震災からの新しきまちづくりとして「勝手に復興計画 in 石巻」を発進いたします。

6 コメント

2011年

12月

31日

ホームページ開設

3.11震災以降、如何にすれば「津波につよいまち」が可能なのか?考えてきました。

その「ひとつの答え」を提示できればと思います。実現に向けて多くの人の意見を求めています。

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